食うか食われるか
読み方:くうかくわれるか
「食うか食われるか」の意味
「食うか食われるか」とは、相手を倒すか、自分が倒されるかというほどの、激しい勝負や争いをいいます。
もともとは命がかかったような切迫した争いをいう強い表現です。
現在では、実際に命を争う場面だけでなく、企業同士の競争やスポーツの勝負など、生き残りをかけた厳しい競争にも使われます。
「食うか食われるか」の由来
ここでの「食う」は、単に食べ物を食べるという意味ではなく、強い相手を負かしたり、相手の勢力をしのいだりすることを表します。
「優勝候補を食う」の「食う」と同じ使い方です。
相手を「食う」側になるか、反対に自分が「食われる」側になるかという二者択一の形から、勝つか負けるか、生き残るか倒されるかというほどの激しい争いをいうようになりました。
「食うか食われるか」の使い方
「食うか食われるかの戦い」「食うか食われるかの競争」「食うか食われるかの世界」のように、後ろに名詞を続ける形がよく使われます。
勝敗によって一方が大きな打撃を受けるような厳しい場面に向く表現です。
「今日のじゃんけんは食うか食われるかだ」のような軽い勝負に使うと、大げさに聞こえる場合があります。
「食うか食われるか」の例文
- 決勝戦は互いに一歩も譲らない、食うか食われるかの激戦となった。
- 市場から撤退する企業も増え、この業界では食うか食われるかの競争が続いている。
- 戦国の武将たちは、まさに食うか食われるかという状況で敵と向き合っていた。
「食うか食われるか」の類似表現
弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)
「弱肉強食」は、強い者が弱い者を押さえ、弱い者が犠牲になるという関係をいいます。
「弱肉強食の世界」は競争社会全体のあり方をいう場合にも使えますが、「食うか食われるか」は、自分と相手のどちらが勝つかという切迫した勝負をいうときに使いやすい表現です。
生きるか死ぬか(いきるかしぬか)
「生きるか死ぬか」も、命にかかわるほど重大な状況を表します。
ただし、「生きるか死ぬかの病状」のように、争う相手がいない場面でも使えます。
「食うか食われるか」は、相手との争いや競争を意識した場面で使われるのが特徴です。
「食うか食われるか」の古い用例
中井正一『美学入門』(1951年)では、武士の世界について「食うか食われるかのせっぱつまった世界」と書かれています。
ここでは、互いの命をかけて戦う武士の真剣勝負を形容しており、現在の「相手を倒すか、自分が倒されるか」という使い方と重なります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「食うか食われるか」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「食うか食われるか」項。
- 中井正一『美学入門』、1951年。
