台風一過
読み方:たいふういっか
「台風一過」の意味
台風が通り過ぎたあと、空が晴れ渡ってよい天気になることです。
騒動や混乱がおさまり、平静を取り戻すことのたとえにも使います。
「台風一過」の語源・由来
「台風一過」は、古典の故事成語というより、近代の気象語を使って日本語に定着した四字表現です。
「台風」はもと「颱風」と書き、岡田武松が1907年(明治40年)に学術的に定義づけたのち、大正時代から「颱風」が広く使われるようになったとされています。
現在の「台風」は「颱風」の書き換えです。
「一過」は、さっと通り過ぎることを表す語で、「台風一過」の「一」には一回という数よりも、一気に・すっかり通り過ぎるという含みがあります。
現在につながる四字の組み合わせが最初に成立した時期は明確ではありません。
「台風一過」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「台風一過の〜」
後ろに「青空」「秋晴れ」「朝」「静けさ」などを続けます。「台風一過の青空」「台風一過の静けさ」などの形です。 - 「台風一過、〜」
文の初めに置き、その後の天候や状況を続けます。「台風一過、強い日差しが戻る」などと使います。 - 「台風一過で〜」
後ろに通過後の変化を続けます。「台風一過で一気に晴れる」などの形です。
「台風一過」の例文
- 台風一過の朝、窓を開けると鮮やかな青空が広がっていました。
- 台風一過、昨日まで運休していた鉄道も通常どおりの運行に戻りました。
- 数週間にわたる交渉が決着し、部署には台風一過のような落ち着きが戻りました。
「台風一過」の類似表現
雨過天晴(うかてんせい)
悪かった状況がよい方向へ変わることをたとえる四字熟語です。
特定の台風を指すのではなく、物事が好転する場面に広く使われ、文章語的な響きがあります。
一件落着(いっけんらくちゃく)
問題や事件が解決して決着することを指します。
解決そのものに重点があり、騒ぎが去ったあとの晴れやかさや静けさまでは意味に含みません。
「台風一過」の古い用例
1920年(大正9年)4月10日の『大阪時事新報』には、
「財界颱風一過――漸く小康状態」
という見出しがあります。
「颱風一過」という歴史的な表記で、実際の気象ではなく、財界の混乱がひとまずおさまった状態を表しています。
大正期にはすでに比喩として使用されていたことが分かる例です。
「台風一過」の間違いやすい使い方・表記
「たいふういっか」という音から「台風一家」と書くのは誤りです。
正しい表記は「台風一過」です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「台風一過」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「台風・颱風」「台風一過」「一過」項。
- 『大阪時事新報』1920年4月10日「財界颱風一過――漸く小康状態」、神戸大学経済経営研究所新聞記事文庫。
- 円満字二郎「四字熟語根掘り葉掘り22:あとが気になる『台風一過』」公益財団法人日本漢字能力検定協会、2018年。
