満目荒涼
読み方:まんもくこうりょう
「満目荒涼」の意味
「満目荒涼」とは、見渡す限りあたり一面が荒れ果て、もの寂しいさまです。
土地・町・原野など、広く目に入る景色について使われる文章語です。
「満目荒涼」の語源・由来
「満目」は「見渡す限り」「あたり一面」、「荒涼」は「荒れ果ててもの寂しいさま」を意味し、この二語を組み合わせた漢語です。
現在と同じ四字の並び「滿目荒涼」は、中国の古い文献にも見られます。
『羅浮山志』に収められた明代・陳璧の「何仙姑祠」には
「滿目荒涼對暮雲」
とあり、清代・納蘭性徳の「蝶恋花・出塞」にも
「滿目荒涼誰可語」
とあります。
少なくとも明代には四字が連続した形で使われていましたが、これを最初の用例と断定できる資料までは確認できません。
「満目荒涼」の使い方
次のような形で使われます。
- 「満目荒涼たる〜」
後ろに「光景」「原野」「有様」などを続けます。「満目荒涼たる原野」「満目荒涼たる有様」などの形です。 - 「満目荒涼とした〜」
後ろに景色や場所を表す言葉を置きます。「満目荒涼とした荒野」「満目荒涼とした町」などと使います。 - 「満目荒涼として〜」
景色や場所の状態を文中で述べる形です。「一帯は満目荒涼としている」「満目荒涼として人影もない」などと続けます。
「満目荒涼」の例文
- 大規模な山火事のあと、展望台から見える一帯は満目荒涼たる焼け野原に変わっていました。
- 鉱山の閉山から何十年もたち、かつてにぎわった谷あいの集落は満目荒涼として、崩れかけた建物だけが残っていました。
- 冬の旅で訪れた高原には満目荒涼とした景色が広がり、枯れ草の間を冷たい風が吹き抜けていました。
「満目荒涼」の類似表現
満目蕭条(まんもくしょうじょう)
見渡す限り、ひっそりとしてもの寂しいさまを表します。
「満目荒涼」が荒れ果てた様子を含むのに対し、「満目蕭条」は人けのなさや寂しい景色を表す場合にも使われます。
「満目荒涼」の古い用例
徳富蘇峰の『将来の日本』は1886年(明治19年)10月7日に初版が刊行され、その中に
「秋風寂寞、満目荒涼」
という表現があります。
ここでは実際の荒れた土地ではなく、封建社会の経済のありさまを描く比喩として使われており、明治中期には景色以外の荒廃した状況にも用いられていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「満目荒涼」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』「満目荒涼」項。
- 『羅浮山志』、陳璧「何仙姑祠」。
- 納蘭性徳「蝶恋花・出塞」。
- 徳富蘇峰『将来の日本』経済雑誌社、1886年。
