苦学力行
読み方:くがくりっこう
「苦学力行」の意味
「苦学力行」とは、生活上・経済上の苦労に耐えながら学問に励み、力を尽くして努力することです。
自分で学費や生活費を得ながら勉強を続ける場合にも使われます。
「苦学力行」の語源・由来
「苦学力行」は、「苦学」と「力行」を組み合わせた語です。
「苦学」は苦労を重ねて学ぶことをいい、「力行」は力を尽くして物事を行うことをいいます。
「力行」は古い漢語で、『礼記』「中庸」には、
好学近乎知、力行近乎仁、知恥近乎勇
とあります。
「力行近乎仁」は、力を尽くして実践することは仁に近い、という趣旨です。
ただし、『礼記』に「苦学力行」という四字の形が出てくるわけではありません。
現在の四字形について、特定の中国古典の一文や一つの故事から直接成立したと断定できる資料は確認できず、成立時期も明確ではありません。
「苦学力行」の使い方
次のような形で使われます。
- 「苦学力行する」
学業を続けるために苦労を重ねながら努力する人物について使います。 - 「苦学力行して〜」
後ろに「学ぶ」「卒業する」「学問を修める」など、その努力によって行ったことを続けます。 - 「苦学力行の〜」
後ろに「人」「学生生活」「日々」などを置きます。「苦学力行の人」の形は明治期の書名にも見られます。
「苦学力行」の例文
- 彼は昼間の仕事で学費をまかないながら、苦学力行して大学を卒業しました。
- 家計が厳しいなかでも、祖父は苦学力行する姿勢を崩さず、専門の勉強を続けたそうです。
- 若いころの苦学力行の日々が、その研究者の粘り強さを育てました。
「苦学力行」の類似表現
蛍雪之功(けいせつのこう)
苦労して学問に励むこと、またはその成果をいいます。
「蛍雪の功を積む」「蛍雪の功が成る」のように、長年の勉学によって得た成果にまで意味が及ぶ点が特徴です。
刻苦勉励(こっくべんれい)
非常な苦労に耐えて、仕事や勉学などに熱心に励むことです。
「苦学力行」より対象が広く、学問以外の仕事や活動にも使えます。
「苦学力行」の古い用例
『法律新聞』の「星亨氏の逝去」には、星亨の若いころについて、
家甚だ富まざりしを以て苦學力行英書を修む
という記述があります。
記事中では星亨が明治34年(1901)6月21日に亡くなったことを「去月廿一日」と記しており、その直後の時期の資料です。
「苦學力行」が「英書を修む」に先立ち、苦労しながら勉学した様子を表しています。
明治43年(1910)には、永田岳淵による『脩養叢書 苦学力行の人』が刊行されています。
書名自体に「苦学力行の人」という形が用いられており、この時期には人物の努力を評価する表現として使われていたことが分かります。
「苦学力行」の間違いやすい使い方・表記
一般的な読み方は「くがくりっこう」です。
「力行」だけでは「りきこう」と読む場合もあり、「苦学力行」についても「くがくりきこう」という読みを掲げる資料があります。
また、単に試験前に集中して勉強したという程度よりも、生活上の困難などを抱えながら継続して学ぶ場面に適した言葉です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「苦学力行」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』「苦学力行」項。
- 『礼記』「中庸」、中国哲学書電子化計画所収。
- 名古屋大学大学院法学研究科『法律新聞』データベース「星亨氏の逝去」。
- 一般社団法人Jミルク 酪農乳業史デジタルアーカイブス「脩養叢書苦学力行の人」。
