軽薄短小
読み方:けいはくたんしょう
「軽薄短小」の意味
「軽薄短小」とは、物が軽く、薄く、短く、小さいこと、また製品などがその方向へ変化していく傾向を表す言葉です。
とくに機械・電気製品をはじめとする商品の小型化・軽量化を表すときに使われ、形態だけでなく文化や内容について用いられる場合もあります。
「軽薄短小」の語源・由来
中国古典に由来する成語ではなく、1980年代初頭の日本で、商品や産業の変化を表す言葉として広まった比較的新しい四字熟語です。
1982年11月、日経ビジネス編集部による
『時代は「軽・薄・短・小」―売れない時代の売れる商品』
が日本経済新聞社から刊行されています。
題名では「軽・薄・短・小」と四つの要素を中黒で区切っており、「軽い・薄い・短い・小さい」という性質を並べた表現であることが明確です。
1983年の世相を記録した資料にも「軽・薄・短・小」が代表的な流行語として収録されています。
現在の「軽薄短小」という区切りのない四字形が最初に使われた時期までは、今回確認できた資料からは特定できません。
「軽薄短小」の使い方
次のような形で使われます。
- 「軽薄短小な〜」
後ろに「製品」「機器」「部品」「設計」などを続けます。「軽薄短小な電子機器」などの形です。 - 「軽薄短小化する/軽薄短小化が進む」
製品や部品が小型・軽量・薄型になっていくことを述べます。「部品の軽薄短小化が進む」などと使います。 - 「軽薄短小の方向へ〜」
商品や消費の傾向が変化するときに使います。「軽薄短小の方向へ向かう」などの形があります。 - 「軽薄短小を追求する」
製品開発や設計で、小型化や軽量化などを目指すことを述べます。
「軽薄短小」の例文
- 新型端末は部品配置を見直し、従来機よりも軽薄短小な設計になりました。
- 半導体や実装技術の進歩によって、電子機器の軽薄短小化が急速に進みました。
- 短い記事や小型の商品が好まれる風潮を、評論家は軽薄短小の時代と評しました。
「軽薄短小」の類似表現
小型軽量(こがたけいりょう)
製品の大きさと重さを中心に述べる表現です。
「軽薄短小」より意味の範囲が狭く、製品の仕様や設計上の特徴を具体的に示す場合に使いやすい言葉です。
重厚長大(じゅうこうちょうだい)
「軽薄短小」と対にして使われる表現です。
重く、厚く、長く、大きい製品や、それらを中心とする産業について用いられ、「重厚長大から軽薄短小へ」のように産業構造の変化を述べることがあります。
「軽薄短小」を構成する言葉の意味
「軽」「薄」「短」「小」は、それぞれ「軽い」「薄い」「短い」「小さい」という四つの性質を示しています。
産業や商品の傾向を表す場合には、「軽薄」と「短小」という二つの熟語を組み合わせたものというより、四項目を並べた語として理解するのが適切です。
初期に「軽・薄・短・小」と表記されたことにも、この構造が表れています。
「軽薄短小」の古い用例
堺屋太一の『三脱三創』(1986年)には、
「むしろ軽薄短小の方向に向かい」
という用例があります。
ここでは消費者の志向の変化について、「軽薄短小の方向に」という形で使われています。
少なくとも1980年代半ばには、中黒を入れない現在と同じ四字形が文章中で用いられていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「軽薄短小」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「軽薄短小」項。
- 国立情報学研究所「CiNii Books」『時代は「軽・薄・短・小」―売れない時代の売れる商品』書誌情報。
- 昭和館『昭和世相流行語辞典』書誌・目次情報。
