無事息災
読み方:ぶじそくさい
「無事息災」の意味
「無事息災」とは、病気や災難、心配事がなく、穏やかに暮らしていることです。
「無事息災」の語源・由来
「無事息災」は、「無事」と「息災」を重ねた言葉です。
「無事」は変わった出来事や事故などがないことをいい、「息災」はもともと仏教に関係する語でした。
「息災」はサンスクリット語の「シャーンティカ(扇底迦)」の訳語で、「息」には、とどめる、しずめるという意味があります。
もとは災いや苦難を取り除くことを指し、日本では平安時代の文献にも仏教語として見られます。
そこから、身に災いがなく、健康で達者であるという意味でも使われるようになりました。
現在の「無事息災」という四字の形が、いつ成立したのかは明確ではありません。
「無事息災」の使い方
次のような形で使われます。
- 「無事息災を祈る/願う」
人や家族が病気や事故に遭わずに過ごせるよう願うときに使います。 - 「無事息災で暮らす/過ごす」
「家族全員が無事息災で暮らす」のように、人の生活について述べる形です。 - 「無事息災が何よりだ」
健康で問題なく過ごせることを大切なものとして述べるときに使います。
「無事息災」の例文
- 海外で暮らし始めた娘の無事息災を、家族みんなで祈っています。
- 離れて暮らす祖父母が無事息災で過ごしていると聞き、安心しました。
- 年齢を重ねると、家族そろって無事息災でいられることが何よりありがたく感じられます。
「無事息災」の類似表現
無病息災(むびょうそくさい)
「無病息災」は、病気をせず健康であることに重点を置く言葉です。
「無事息災」は病気だけでなく、事故や災難、その他の心配事がないことまで含めて使えます。
平穏無事(へいおんぶじ)
「平穏無事」は、変わった出来事が起こらず、穏やかな状態が続いていることをいいます。
人の暮らしだけでなく、日々の生活や周囲の状況などについても使いやすい表現です。
「無事息災」の古い用例
福沢諭吉の『福翁自伝』は1899年(明治32年)に時事新報社から刊行されました。
その「品行家風」には、昔知り合った人物の消息について、
「寺は旧の通り焼けもせず、高さんも無事息災」
とあります。
明治期には、現在と同じ「無事息災」の四字形が、人が変わりなく健やかに暮らしていることを述べる言葉として使われていた例です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「無事息災」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「無事息災」「息災」項。
- 福沢諭吉述・矢野由次郎記『福翁自伝』時事新報社、1899年。
