満身創痍
読み方:まんしんそうい
「満身創痍」の意味
全身が傷だらけであることです。
転じて、批判や失敗、損害などが重なり、精神的・社会的にもひどく打撃を受けている状態を表します。
「満身創痍」の語源・由来
「満身」は体じゅう、全身のこと、「創痍」は傷を意味します。
「創」と「痍」は、どちらも傷を表す字です。
「創痍」は古く「瘡痍」とも書かれ、明治初期にはすでに日本語で使われていました。
中村正直訳『西国立志編』(1870~1871年)には
「瘡痍身に満つれども」
という表現があります。
ただし、これは現在の「満身創痍」という四字の語形そのものではありません。
特定の故事や中国古典の一句を直接の出典とする確かな根拠は確認できず、現在の四字の形がいつ成立したかも明確ではありません。
「満身創痍」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「満身創痍の〜」
後ろに人や組織、身体などを表す言葉を続けます。「満身創痍のチーム」「満身創痍の身体」などの形です。 - 「満身創痍で〜」
後ろに動作を続けます。「満身創痍で帰還する」「満身創痍で立ち向かう」などと使います。 - 「満身創痍になる/となる」
傷やさまざまな打撃を重ねて受けた結果を述べる形です。「批判を浴びて満身創痍になる」「連敗で満身創痍となる」などと使います。
「満身創痍」の例文
- 度重なる故障を抱えながら、その選手は満身創痍のまま大会を最後まで戦った。
- 相次ぐ不祥事で信用を失い、会社は満身創痍といえるほど深刻な打撃を受けた。
- 厳しい批判にさらされ続けた担当者は、発表を終えたころには満身創痍だった。
「満身創痍」の類似表現
満身傷痍(まんしんしょうい)
「創痍」を「傷痍」とした形で、意味はほぼ同じです。
多くの場面で言い換えられます。
疲労困憊(ひろうこんぱい)
ひどく疲れて力がなくなることをいいます。
負傷や外部から受けた打撃を含むとは限らず、長時間の仕事や運動などによる強い疲れについても使います。
「満身創痍」の古い用例
阿部信夫編著『支那事変戦記海軍航空戦』(大日本雄弁会講談社、1939年6月)の目次には、
「満身創痍、被弾百三十八発」
という見出しがあります。
人の身体だけでなく、激しく被弾した航空機の損傷を表す言葉として使われています。
同年12月9日の『臺灣新聞』第13226号には、
「民族總動員戰 滿身創痍の地球」
という見出しがあり、本文末でも
「廻轉する現世紀の地球は滿身創痍である」
と使われています。
この例では「地球」を傷ついた身体に見立てており、1939年の時点ですでに比喩的な対象にも用いられていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「満身創痍」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「満身創痍」項、「創痍」項。
- 中村正直訳『西国立志編』1870~1871年。
- 阿部信夫編著『支那事変戦記海軍航空戦』大日本雄弁会講談社、1939年。
- 『臺灣新聞』第13226号、1939年12月9日、日刊第1版。
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』「満身創痍」。
- 昭和館デジタルアーカイブ「支那事変戦記海軍航空戦」書誌・目次。
- 中央研究院臺灣史研究所「臺灣文獻全文資料庫」『臺灣新聞』1939年12月。
