無病息災
読み方:むびょうそくさい
「無病息災」の意味
病気をせず、健康でいることを意味します。
「無病息災」の語源・由来
語源上で重要なのは「息災」です。
「息災」はサンスクリット語の śāntika(シャーンティカ)の訳語で、「息」には「とどめる」という意味があります。
もとは密教で、災いや苦難などを取り除くことに関わる仏教語でした。
日本では、『日本紀略』の天徳4年(960)6月14日の記事に、災いを除く意味で「息災」が使われています。
『栄花物語』では「御そくさい」のように、健康・無事を表す意味での用例も見られます。
仏教上の「災いを除く」という意味から、身に問題がなく達者であるという意味へ用法が広がっていたことが分かります。
「無病息災」という現在の四字形がいつ成立したのかは、明確には分かっていません。
「無病息災」の使い方
次のような形で使われます。
- 「無病息災を祈る・願う」
神社や寺での祈願、年始や節目のあいさつなどで使います。「家族の無病息災を祈る」などと続けます。 - 「〜の無病息災」
前には健康を願う対象を置きます。「家族の無病息災」「子どもたちの無病息災」などの形です。 - 「無病息災で〜」
後ろに「過ごす」「暮らす」などを続けます。「無病息災で一年を過ごす」などと使います。 - 「無病息災だ・だった」
健康状態について述べるときに使います。「長年無病息災だった」などの形です。
「無病息災」の例文
- 初詣では、離れて暮らす両親の無病息災を祈りました。
- 今年も家族全員が無病息災で過ごせたことをありがたく思います。
- 祖母は八十代まで無病息災でしたが、健康診断だけは毎年欠かしませんでした。
「無病息災」の類似表現
無事息災(ぶじそくさい)
病気だけに限らず、災害や心配事などもなく平穏に暮らしていることを表します。
生活全体の「無事」を含めて述べたい場合に使える表現です。
一病息災(いちびょうそくさい)
一つくらい持病がある人のほうが体に気を配るため、かえって長生きするという考えを表します。
「無病息災」から作られた語で、発想の違いを利用した表現です。
「無病息災」の古い用例
日本語で現在と同じ四字形が使われた早い例として、『大観本謡曲・寝覚』の1546年頃の用例が知られています。
そこには
「無病息災の方便の為」
とあり、「無病息災」の後ろに「の」を置く形で使われています。
少なくとも16世紀中頃には、現在と同じ表記が日本語の文献に現れていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「無病息災」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「無病息災」「息災」「無事息災」「一病息災」項。
