読み方:もんこかいほう

「門戸開放」の意味

制限を取り払い、外部の人や組織が自由に出入りしたり、参加したりできるようにすることです。

国際関係では、港や市場を諸外国に開き、外国による経済活動を認めることも指します。

「門戸開放」の語源・由来

「門戸」はもともと家の門と戸、そこから人が出入りする場所を指す言葉です。

「開放」は、閉じていたものを開け放すことから、制限をなくして自由に出入りできるようにする意味を持ちます。

19世紀末には、中国での通商をめぐって「open door」が欧米外交の重要な考え方となりました。

1899年と1900年、アメリカの国務長官ジョン・ヘイは各国に対し、中国における通商上の機会均等などを求める通牒を出しています。

「門戸開放」は明治後期の日本でも、この国際政治の文脈で使われるようになりました。

「門戸開放」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜への門戸開放」
    前には、参加や利用を認める対象を置きます。「女性への門戸開放」「海外企業への門戸開放」などの形です。
  • 「門戸開放を求める/進める」
    制度や組織について、受け入れの範囲を広げることを要求したり実施したりするときに使います。「市場の門戸開放を求める」「競技会の門戸開放を進める」などとします。
  • 「門戸開放の〜」
    後ろに「方針」「政策」などを続けます。「門戸開放の方針」「門戸開放の政策」などの形です。

「門戸開放」の例文

  • 大会の参加条件が見直され、これまで出場できなかった地域の選手にも門戸開放が進められた。
  • 業界団体は、新規事業者への門戸開放を政府に求めている。
  • 近代の東アジア外交を学ぶと、門戸開放が通商をめぐる重要な原則として登場する。

「門戸開放」の類似表現

規制緩和(きせいかんわ)

規則や制限を軽くすることを指します。

規制が緩和されても、新たな人や組織に参加の機会が与えられるとは限りません。

自由貿易(じゆうぼうえき)

国家間の貿易について、関税や数量制限などの障害を少なくしようとする考え方です。

貿易の仕組みを主な対象とするため、組織・学校・競技などへの参加を広げる場面には通常使いません。

「門戸開放」の古い用例

内藤湖南が『大阪朝日新聞』に発表した明治34年(1901)の論説には、

「実業者と外交(満洲の門戸開放に就て)」

という題があります。

この時期にはすでに「満洲の門戸開放」の形で、国際的な通商・経済をめぐる言葉として使われていました。

明治36年(1903)7月17日の『東京朝日新聞』には、

「進歩党は一昨日を以て門戸開放の議を決したるが」

とあります。

外交や貿易だけでなく、制限を取り払って受け入れを広げる一般的な意味でも、明治後期には用いられていたことが分かります。

「門戸開放」の間違いやすい使い方・表記

「門戸開放」の「かいほう」は、「開放」と書きます。

「解放」は、束縛や支配などから自由にすることを表す語です。

「門戸開放」では、入り口を開いて出入りや参加を認めるという意味から「開」の字を使います。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「門戸開放」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「門戸開放」項。
  • 内藤湖南『内藤湖南全集 第3巻』筑摩書房、1971年。
  • 『山川 世界史小辞典』改訂新版、山川出版社、2011年、「門戸開放政策」項。
  • 国立公文書館アジア歴史資料センター「門戸開放政策」。
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。