名誉回復
読み方:めいよかいふく
「名誉回復」の意味
一度失った名誉や、傷つけられた社会的な評価を取り戻すことです。
本人の行動によって評価を取り戻す場合だけでなく、誤った処分や評価が取り消され、名誉が正される場合にも使われます。
「名誉回復」の語源・由来
「名誉」と「回復」を組み合わせてできた語です。
「回復」には、悪くなった状態を元に戻す意味のほか、一度失ったものを再び取り戻す意味があります。
明治29年(1896)に公布された民法第723条には、名誉を傷つけた場合について
「名譽ヲ囘復スルニ適當ナル處分」
とあります。
この時点で「名誉」と「回復」が、社会的評価を元に戻す意味で結びついて使われていました。
「名誉回復」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「名誉回復を求める」
不当に評価を傷つけられた人や、その家族などが、評価の見直しを求める場合に使います。「遺族が名誉回復を求める」などの形です。 - 「名誉回復を図る」
名誉を取り戻すための措置や取り組みを進める場合に使います。「関係者の名誉回復を図る」などと続けます。 - 「名誉回復のために〜」
後ろに具体的な行動を続けます。「名誉回復のために訂正を申し入れる」「名誉回復のために再調査する」などの形です。
「名誉回復」の例文
- 誤った報道内容が正式に訂正され、長く疑いをかけられていた研究者の名誉回復につながった。
- 遺族は処分の取り消しと故人の名誉回復を求めて、関係機関に申し立てを行った。
- 会社は調査結果を公表し、誤って責任を問われた社員の名誉回復のために謝罪した。
「名誉回復」の類似表現
名誉挽回(めいよばんかい)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「名誉挽回」は、失敗のあとに成果を上げるなど、自らの行動によって信用や評価を取り戻す場面でもよく使われます。
「名誉回復」は、第三者による訂正や処分の取り消しなどについても使われます。
汚名返上(おめいへんじょう)
悪い評判や不名誉な評価を取り除くことをいいます。
特に、新しい成果を上げて以前の悪い評判を打ち消す場合によく使われる表現です。
「名誉回復」の古い用例
明治37年(1904)11月21日の大審院決定には、事件について
「名譽囘復損害賠償事件」
とあります。
「誉」が「譽」、「回」が「囘」と書かれていますが、「名誉回復」と同じ四字の語が、すでに法律関係の複合語として使われていたことが分かります。
豊島与志雄の小説『野ざらし』は、1923年(大正12)1月に『中央公論』へ発表されました。
作中には
「何が名誉回復だか」
とあり、「名誉回復」が一つの名詞として文学作品の文章にも使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「名誉回復」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 『民法』明治29年法律第89号、第723条。
- 『大審院民事判決録』第10輯、1904年。
- 豊島与志雄『野ざらし』、『中央公論』1923年1月。
