冷酷無残
読み方:れいこくむざん
「冷酷無残」の意味
「冷酷無残」とは、思いやりがなく、冷たくむごいことです。
「冷酷無残」の使い方
次のような形で使われます。
- 「冷酷無残な〜」
後ろに「犯行」「仕打ち」「態度」「人物」などを続けます。「冷酷無残な手口」「冷酷無残な仕打ち」などの形です。 - 「冷酷無残に〜」
後ろに動作を続けます。「冷酷無残に切り捨てる」「冷酷無残に扱う」などと使います。 - 「〜は冷酷無残だ」
人物や行為、方針などについて強く非難するときに使います。
「冷酷無残」の例文
- その小説では、王が反対者を冷酷無残に追放する姿が描かれています。
- 利益を守るために長年の協力者を切り捨てる彼の態度は、冷酷無残だと批判されました。
- 捜査官は、犯行の周到さと冷酷無残な手口に強い衝撃を受けました。
「冷酷無残」の類似表現
冷酷無情(れいこくむじょう)
「無情」は人間らしい情や思いやりがないことを表すため、人物の性格や態度について使われることの多い表現です。
「冷酷無残」と意味が近く、多くの場面で言い換えられます。
冷酷非道(れいこくひどう)
「非道」には人としての道から外れているという意味があり、行為や処置を道徳的に強く非難する場合に適しています。
「冷酷無残」を構成する言葉の意味
「むざん」は古く「無慚・無慙」と書かれ、もとは仏教語で、恥ずべき行いをしても自ら恥じないことを意味しました。
日本語では平安後期以降に「ひどい」という意味が生まれ、さらに「いたわしい・かわいそう」という意味も持つようになりました。
「無残」のほか「無惨・無慚・無慙」とも表記されます。
「冷酷無残」の古い用例
1938(昭和13)年10月号の『オール讀物』に発表された野村胡堂「銭形平次捕物控 081 受難の通人」には、「冷酷無慙」という表記が見られます。
作品の冒頭で
「用意周到で、冷酷無慙なのは類のない」
と、犯罪の手口を評する形で使われており、昭和戦前期には現在とほぼ同じ意味の四字表現が用いられていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「冷酷無残」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 張愚「『むざん』の語義変化―形容詞の統語的機能との関わりから―」『日本語の研究』第10巻1号、日本語学会、2014年、32~47頁。
- 野村胡堂「受難の通人」『オール讀物』1938年10月号、文藝春秋社。
