読み方:わきあいあい

「和気藹藹」の意味

人々の間になごやかで打ち解けた気分が満ちている様子をいいます。

人間関係や集まり、職場などの穏やかな雰囲気について使う言葉です。

「和気藹藹」の語源・由来

「和気藹藹」の典拠として、唐の文人・書家である李邕(りよう、678~747)の「春賦」が挙げられます。

『文苑英華』巻二十一に収められた「春賦」には、

「和氣藹兮充㝢」

とあります。

「和気」が穏やかな気、「藹」がやわらいだ様子に関わる語です。

ただし、この原文は「和氣藹兮」であり、「和氣藹藹」という現在と同じ四字の並びではありません。

したがって、李邕の「春賦」は現在の表現につながる典拠ですが、四字熟語「和気藹藹」がそのまま唐代の原文にあるわけではありません。

現在の四字形がいつ成立したかは、確認できる資料からは特定できません。

「和気藹藹」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「和気藹藹とした〜」
    後ろに「雰囲気」「会合」「職場」などを続けます。「和気藹藹とした雰囲気」「和気藹藹とした集まり」などの形です。
  • 「和気藹藹と〜する」
    後ろに人々の行動を続けます。「和気藹藹と語り合う」「和気藹藹と食事をする」などと使います。
  • 「和気藹藹としている」
    集団やその場の様子について述べます。「職場が和気藹藹としている」「一同が和気藹藹としている」などの形です。
  • 「和気藹藹たる〜」
    「家庭」「光景」などを続ける、やや文語的な形です。「和気藹藹たる家庭」などと使います。

「和気藹藹」の例文

  • 新しい部署の顔合わせは、終始和気藹藹とした雰囲気で進みました。
  • 久しぶりに集まった親族は、食卓を囲んで和気藹藹と語り合っていました。
  • 厳しい練習を終えた選手たちも、控室では和気藹藹としていました。

「和気藹藹」の類似表現

和気藹然(わきあいぜん)

意味は非常に近く、多くの場面で言い換えられます。

「和気藹然」は現代の日常的な文章では「和気藹藹」より目にする機会が少ない表現です。

和気洋洋(わきようよう)

なごやかな気分が満ちていることをいう点では共通します。

「洋洋」には広々として満ちあふれるという語感があり、「和気洋洋」は場全体に和やかさが広がっている様子を表せます。

「和気藹藹」の古い用例

『風俗画報』第二十四号(1891年)の論説には、

「人心の和気靄々たるに当りては」

という用例があります。

この例では「藹々」ではなく「靄々」と表記され、「和気靄々たる」という文語的な形で用いられています。

少なくとも明治24年には、日本語で現在の「和気藹藹」に当たる表現が使われていました。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「和気藹藹」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「和気靄靄・和気藹藹」項。
  • 李昉等編『文苑英華』巻二十一、李邕「春賦」。
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北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。