読み方:ばかしょうじき

「馬鹿正直」の意味

正直すぎて、その場に応じてうまく対応できないこと、また、そのような人や様子を表します。

誠実さを認めながらも、正直さが度を越しているという含みを持つ言葉です。

「馬鹿正直」の語源・由来

「馬鹿正直」の「馬鹿」は、ここでは「愚かな人」という意味ではなく、「度が過ぎている」「程度が並外れている」という意味で「正直」に付いています。

「馬鹿騒ぎ」「馬鹿力」などの「馬鹿」と同じ働きです。

中国古典の故事から生まれた四字熟語ではなく、日本語の「馬鹿」と「正直」が結びついてできた表現です。

成立した正確な時期は明らかではありませんが、江戸時代後期には「馬鹿正直」の四字の形が使われていました。

「馬鹿正直」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「馬鹿正直な〜」
    後ろに「人」「性格」「ところ」などを続けます。「馬鹿正直な人」「馬鹿正直な性格」などの形です。
  • 「馬鹿正直に〜」
    後ろに行動を続けます。「馬鹿正直に答える」「馬鹿正直に申告する」などと使います。
  • 「〜は馬鹿正直だ」
    人の性格や行動について述べるときに使います。「彼は馬鹿正直だ」「やり方が馬鹿正直だ」などの形です。

「馬鹿正直」の例文

  • 彼は馬鹿正直なところがあり、聞かれたことには隠さず何でも答えてしまいます。
  • 駆け引きが必要な交渉でも、彼女は馬鹿正直に自分たちの事情を話しました。
  • 規則を一つもごまかさず守ろうとする父を、周囲は少し馬鹿正直だと思っていました。

「馬鹿正直」の類似表現

愚直(ぐちょく)

意味はかなり近く、多くの場面で言い換えられます。

「愚直」は文章でも使われやすく、近年では「愚直に努力する」のように、ひたむきさを評価する言い方にも用いられます。

四角四面(しかくしめん)

考え方や態度が堅苦しく、融通がきかないことを表します。

正直であるかどうかに限らず、形式や決まりにとらわれる人や態度にも使える点が異なります。

「馬鹿正直」の古い用例

小林一茶の『七番日記』文化11年(1814)3月に、

「町並や馬鹿正直に更衣」

という句があります。

「馬鹿正直に」という形で「更衣」につながっており、江戸時代後期には副詞的に使われていたことが分かります。

現在確認されている早い用例の一つです。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「馬鹿正直」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「馬鹿正直」「馬鹿」項。
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北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。