読み方:すいへいしこう

「水平思考」の意味

水平思考とは、既成の理論や固定された考え方の枠から離れ、問題を別の角度から見て新しいアイデアや解決策を探す思考法です。

「水平思考」の語源・由来

「水平思考」は、マルタ出身の医師・心理学者エドワード・デ・ボノが提唱した英語 lateral thinking の訳語です。

デ・ボノは1967年刊の著書 The Use of Lateral Thinking でこの概念を提示し、従来の考えを一つの方向へ掘り下げる vertical thinking と対比しました。

英語の lateral には「横の」「側方の」という意味があり、日本語では lateral thinking が「水平思考」、vertical thinking が「垂直思考」と訳されています。

中国古典に由来する成語ではなく、20世紀に生まれた思考法の名称です。

日本語で最初に「水平思考」と訳した人物や時期までは、今回確認した資料から特定できません。

「水平思考」の使い方

次のような形で使われます。

  • 「水平思考で〜を考える」
    後ろには「解決策」「企画」「方法」などを置きます。「水平思考で解決策を考える」「水平思考で企画を考える」などの形です。
  • 「〜に水平思考を取り入れる」
    会議や教育、商品開発などに、この思考法を活用するときに使います。「会議に水平思考を取り入れる」「授業に水平思考を取り入れる」などとします。
  • 「水平思考による〜」
    後ろに「問題解決」「発想」「提案」などを続けます。「水平思考による問題解決」「水平思考による提案」などの形です。

「水平思考」の例文

  • 新商品の企画会議では、既存製品を改良するだけでなく、水平思考で利用場面そのものを見直した。
  • 生徒たちは決まった手順にこだわらず、水平思考を取り入れて別の解決方法を探した。
  • 人手不足に対して仕事の量そのものを減らすという、水平思考による提案が採用された。

「水平思考」の類似表現

発想転換

読み方:はっそうてんかん

「発想転換」は、これまでの考え方を別の考え方へ切り替えることをいいます。

「水平思考」は、特定の発想を一度切り替えることよりも、既存の枠から離れて異なる方向へ考えを広げる思考法を指す場合に適しています。

「水平思考」の古い用例

1969年10月刊の『ニューシンク入門―デボノの水平思考法』では、書名に

「水平思考法」

が使われています。

収録内容にも「心理構造と水平思考」「ビジネスと水平思考」などの章題があり、1969年には「水平思考」が思考法を示す専門語として日本語の論考で用いられていました。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「水平思考」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「水平思考」項。
  • 藤竹暁ほか『ニューシンク入門―デボノの水平思考法』読売新聞社、1969年。
  • Rebecca Wallersteiner, “Edward de Bono: physician, psychologist, and inventor who coined the term ‘lateral thinking’,” BMJ, 2021.
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。