栄枯盛衰
読み方:えいこせいすい
「栄枯盛衰」の意味
人や家、国、組織などの勢いが、栄えたり衰えたりすることです。
文脈によっては、繁栄がいつまでも続かない世のはかなさを含みます。
「栄枯盛衰」の語源・由来
「栄枯盛衰」は、一つの故事をそのまま四字にした言葉ではなく、「栄枯」と「盛衰」という近い意味の二字語を重ねた表現です。
「栄枯」は、もともと草木が茂ることと枯れることをいい、のちに人や物事が栄えることと衰えることにも使われるようになりました。
「栄枯」は魏の曹植「贈丁翼」に
「榮枯」
とあり、「盛衰」は『韓非子』「解老」に
「有盛衰」
とあります。
ただし、これらはそれぞれ二字語の古い例であり、「栄枯盛衰」という現在の四字形そのものが原典にあるわけではありません。
現在の四字形が成立した時期は明確ではありません。
「栄枯盛衰」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜の栄枯盛衰」
前には、変化の歴史を取り上げる対象を置きます。「王朝の栄枯盛衰」「企業の栄枯盛衰」などの形です。 - 「栄枯盛衰を〜」
後ろに「たどる」「物語る」「描く」などを続けます。「栄枯盛衰をたどる」「栄枯盛衰を描く」などと使います。 - 「栄枯盛衰は〜」
世の中の移り変わりについて述べる形です。「栄枯盛衰は世の習い」「栄枯盛衰は世の常」などと続けます。
「栄枯盛衰」の例文
- 老舗旅館の閉館は、この温泉街の栄枯盛衰を象徴する出来事でした。
- 写真集には、炭鉱町が大きく発展し、やがて人口を減らしていく栄枯盛衰が記録されています。
- かつて市場を支配した企業が次々と姿を消すのを見ると、産業界の栄枯盛衰の激しさを感じます。
「栄枯盛衰」の類似表現
盛者必衰(じょうしゃひっすい)
「盛者必衰」は、勢いの盛んな者も必ず衰えるという言葉です。
「栄枯盛衰」が栄えることと衰えることの両方を扱うのに対し、「盛者必衰」は栄えている者がやがて衰えるという方向を示します。
栄枯浮沈(えいこふちん)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「浮沈」は浮くことと沈むことを対にした語で、境遇や勢いの上がり下がりを表します。
「栄枯盛衰」の古い用例
河竹黙阿弥の歌舞伎『二張弓千種重籐』には、明治11年(1878年)の用例として、
「栄枯盛衰は世の習ひと言ひながら」
とあります。
「栄枯盛衰」を「は」で取り立て、「世の習ひ」と結び付けた形で、現在にも通じる言い回しが明治初期に使われていました。
坪内逍遙『当世書生気質』(1885~1886年)には、
「栄枯盛衰いろいろに」
という用例があります。
明治20年前後には、社会のさまざまな浮き沈みを述べる文章の中でも用いられていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「栄枯盛衰」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「栄枯盛衰」「栄枯」「盛衰」項。
- 『文選』巻二十四、曹植「贈丁翼」。
- 『韓非子』「解老」。
- 河竹黙阿弥『黙阿弥全集』第24巻、春陽堂、1926年、「二張弓千種重籐」所収。
- 坪内逍遙『当世書生気質』、1885~1886年。
