現状維持
読み方:げんじょういじ
「現状維持」の意味
「現状維持」は、現在の状態を変えず、そのまま保つことです。
状態が悪化しないことをよいと見る場合にも、変化や進歩がないことを批判する場合にも使われ、肯定的か否定的かは文脈によって変わります。
「現状維持」の使い方
次のような形で使われます。
- 「〜を現状維持する」
前には、変えずに保つ対象を置きます。「料金を現状維持する」「規模を現状維持する」などの形です。「現状維持する」という動詞の形も使われます。 - 「現状維持の〜」
後ろに「方針」「姿勢」「判断」などを続けます。「現状維持の方針」「現状維持の姿勢」などと使います。 - 「現状維持を図る」
今の水準や状態を保とうとするときに使います。「コストの現状維持を図る」「生産量の現状維持を図る」などの形です。 - 「〜は現状維持だ」
変化がないことを簡潔に述べる形です。「予算は現状維持だ」「病状は現状維持だ」などと使います。
「現状維持」の例文
- 来年度も利用料金は現状維持とし、値上げは行わないことになりました。
- 売り上げは前年並みの現状維持にとどまり、会社は新しい販売戦略を検討しています。
- 検査の結果、父の病状は悪化しておらず、当面は現状維持だと説明を受けました。
「現状維持」の類似表現
旧態依然(きゅうたいいぜん)
昔からの状態が変わらず、そのまま残っていることをいいます。
「旧態依然」は変化や改善がないことへの批判を含む場合が多く、意図して今の状態を保つことにも使える「現状維持」とは語感が異なります。
墨守成規(ぼくしゅせいき)
昔からの決まりや方法をかたく守り、新しいやり方を取り入れようとしないことです。
制度や慣習への固執を批判する意味が強く、「現状維持」より使える対象が限られます。
「現状維持」の古い用例
1904年(明治37年)3月9日の『東京朝日新聞』「日露戦争と平和会議」には、
「寧ろ現状維持の得策たるに帰着すべし」
という用例があります。
「現状維持の得策」という形で、国際関係について論じる文章に使われています。
1909年(明治42年)の外務省関係文書にも、
「現状維持ヲ守ルベキ旨」
という表現があります。
明治末期には、外交や国際関係を扱う公的な文書でも「現状維持」が使われていました。
森鴎外の『吃逆』(1912年)には、
「過去に拘泥しては駄目だ。現状維持では駄目だ」
とあります。
「現状維持では駄目だ」という形で、変化しないことを批判する使い方です。
夏目漱石の『こゝろ』(1914年)では、父親の病気について
「現状維持のままで」
と使われています。
政治や外交だけでなく、人の健康状態についても用いられていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「現状維持」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「現状維持」項。
- 小学館・ネットアドバンス「日国友の会」『げんじょういじ【現状維持】』用例カード、2010年4月22日公開。
- アジア歴史資料センター、Ref.B03030008800、明治42年8月17日~同月19日、外務省外交史料館所蔵資料。
