読み方:くうぜんぜつご

「空前絶後」の意味

「空前絶後」は、過去にも例がなく、これから後にも同じような例は現れないと思われるほど、きわめて珍しいことを意味する四字熟語です。

「空前絶後」の語源・由来

中国では、現在の「空前絶後」に先立つ表現として「超前絶後」が確認されています。

『文選』巻五十九の李善注が引く『晋起居注』には、晋安帝の詔として、

元功盛徳、超前絶後。

とあります。

唐代の張懐瓘『書断』にも「超前絶後」の形が使われています。

現在の「空前絶後」は、この「超前絶後」が後世に変化した形とされ、清代の田雯『古歓堂集』には現在と同じ「空前絶後」が見られます。

『宣和画譜』巻二の呉道玄について述べた箇所も、「空前絶後」と関係の深い表現として知られています。

確認した『欽定四庫全書』本では、

且顧冠於前、張絶於後、而道子乃兼有之

とあり、顧愷之は前代に冠し、張僧繇は後世に並ぶ者がなく、呉道玄は両者の長所を兼ね備えていると評しています。

ここには「冠於前」と「絶於後」がありますが、現在の「空前絶後」という四字そのものは使われていません。

「空前絶後」の使い方

次のような形で使われます。

  • 「空前絶後の〜」
    後ろに「記録」「快挙」「大ヒット」「事件」などを続けます。「空前絶後の記録」「空前絶後の快挙」などの形です。
  • 「〜は空前絶後だ」
    人物の業績や作品、記録、出来事などについて述べます。「この記録は空前絶後だ」などと使います。

「空前絶後」の例文

  • その選手は、主要大会で十年連続優勝という空前絶後の記録を打ち立てた。
  • 来場者数も売上高も過去最高を大幅に更新し、今年の催しは空前絶後だった。
  • その小説は発売直後から記録的に売れ続け、出版界では空前絶後の大ヒットとなった。

「空前絶後」の類似表現

前代未聞(ぜんだいみもん)

これまでに一度も聞いたことがないほど珍しいことをいいます。

将来についてまでは含まないため、今までに例がないことを述べる場合に使われます。

絶無僅有(ぜつむきんゆう)

ほとんど存在しないほど珍しいことをいいます。

時間の前後ではなく、存在するものがきわめて少ないことを述べる表現です。

「空前絶後」の古い用例

福沢諭吉『西洋事情』(1866~70年)には、

実に空前絶後の英主と称す可し

とあります。

「空前絶後の英主」という形で名詞を修飾し、人物を高く評価する文脈に使われています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「空前絶後」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
  • 教育部『成語典』2020年、「空前絕後」項。
  • 『宣和畫譜』巻二「道釋二・吳道玄」、『欽定四庫全書』本。
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北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。