臨機応変
読み方:りんきおうへん
「臨機応変」の意味
その時その場の状況や変化に応じて、適切な方法を選んで対処することです。
決まったやり方だけにとらわれず、事情に合わせて対応を変えることをいいます。
「臨機応変」の語源・由来
「臨機応変」の由来としてよく挙げられるのが、唐の李延寿が編んだ歴史書『南史』です。
ただし、『南史』に現在と同じ「臨機応変」という四字がそのままあるわけではありません。
『南史』巻五十一「梁宗室上」には、梁の蕭明について、
吾自臨機制變、勿多言。
とあります。
「私は自分で時機に臨んで変化に対処する。多くを言うな」という趣旨の言葉です。
原文の四字は「臨機制変」で、「応」ではなく「制」が使われています。
現在と同じ「臨機応変」の語形は、南宋の黎靖徳が1270年にまとめた『朱子語類』巻一三六に、
蓋未論臨機應變、方略不同
とあります。
同書では戦いの際に地形などへ合わせて方法を変えることを論じる中で使われています。
少なくとも13世紀の『朱子語類』には、現在と同じ四字の並びが見られます。
『南史』の「臨機制変」から現在の「臨機応変」へ至った具体的な経路や時期までは明確ではありません。
「臨機応変」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「臨機応変に〜」
後ろに「対応する」「行動する」「判断する」などの動作を続けます。「臨機応変に行動する」「臨機応変に判断する」などの形です。 - 「臨機応変な〜」
後ろに「対応」「判断」「処置」などを続けます。「臨機応変な判断」「臨機応変な対応」などと使います。 - 「臨機応変の〜」
「処置」「措置」「方策」などと結びつきます。「臨機応変の処置」「臨機応変の方策」などの形です。
「臨機応変」の例文
- 予定していた道が通れなくなったため、引率者は臨機応変に別の経路へ変更しました。
- 接客ではマニュアルを守るだけでなく、お客様の事情に合わせた臨機応変な判断も求められます。
- 天候が急に悪化したので、大会本部は競技時間を短くするなど臨機応変の措置を取りました。
「臨機応変」の類似表現
随機応変
読み方:ずいきおうへん
意味はほぼ同じで、状況の変化に合わせて対処の仕方を変えることをいいます。
「臨機応変」のほうが現代では広く使われ、「随機応変」は文章で目にすることの多い表現です。
当意即妙
読み方:とういそくみょう
その場ですばやく機転を利かせることをいいます。
特に受け答えや発言など、その瞬間の機転について使いやすい語です。
計画や仕事の進め方など、状況に合わせて対応を変える広い場面には「臨機応変」が使えます。
「臨機応変」の古い用例
福沢諭吉の「政事と教育と分離すべし」は、『時事新報』の1884年(明治17年)12月7~8日に発表された文章です。
その中に、
左顧右視、臨機応変、一日片時も怠慢に附すべからず
とあります。
政治は飢饉、不景気、外国からの脅威など、その時々の事情を見ながら処置しなければならないという文脈です。
少なくとも明治17年には、「臨機応変」が政治上の判断や処置について使われていました。
現存する青空文庫本文は新字新仮名で整えられています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「臨機応変」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 李延寿『南史』巻五十一「梁宗室上」。
- 黎靖徳編『朱子語類』巻一三六、1270年。
- 福沢諭吉「政事と教育と分離すべし」『時事新報』1884年12月7~8日。
