優柔不断
読み方:ゆうじゅうふだん
「優柔不断」の意味
「優柔不断」は、ぐずぐずして物事をなかなか決断できないこと、また、そのような様子を意味します。
人の性格だけでなく、態度や対応についても使われます。
「優柔不断」の語源・由来
「優柔不断」と同じ意味を持つ古い中国語として、『漢書』元帝紀の賛には
「而上牽制文義、優游不斷」
とあります。
ここにあるのは現在の「優柔不斷」ではなく「優游不斷」で、元帝が文義にとらわれて決断できなかったことを評した表現です。
現在と同じ「優柔不斷」の四字の並びは、南宋の洪邁『容斎続筆』巻九「貢薛韋匡」に
「當優柔不斷之朝」
と見えます。
漢の元帝の時代を論じた箇所で、決断に乏しい朝廷という意味で使われています。
したがって、「優柔不断」が『漢書』にそのまま登場するとするのは正確ではありませんが、少なくとも南宋期の中国文献には現在と同じ四字形の実例があります。
『漢書』の「優游不斷」と「優柔不斷」との具体的な語形変化の経路までは、確認できる資料だけでは断定できません。
「優柔不断」の使い方
次のような形で使われます。
- 「優柔不断な〜」
後ろに「態度」「性格」「対応」「上司」などを続けます。「優柔不断な態度」「優柔不断な性格」などの形です。 - 「〜は優柔不断だ」
人物などについて、判断をなかなか下せない性質を述べるときに使います。 - 「優柔不断を〜」
「克服する」「改める」「自覚する」などを続けます。「優柔不断を克服する」のように、名詞として扱う形です。
「優柔不断」の例文
- 会議で何度も方針が変わり、部下からは優柔不断な対応だと批判された。
- 進路をいつまでも決められない自分について、彼は少し優柔不断だと感じていた。
- 選択に期限を設けることで、長年の優柔不断を克服しようとしている。
「優柔不断」の類似表現
遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)
疑い迷って、なかなか決断せずにためらうことです。
人物の性格を評価するよりも、ある場面で決断をためらい続ける様子について使いやすい表現です。
意志薄弱(いしはくじゃく)
自分の意志が弱く、行動を続けたり自分で判断したりする力に欠けることをいいます。
決断の遅さだけでなく、意志を保って物事をやり遂げる力の弱さまで含む点で意味の範囲が広い言葉です。
「優柔不断」を構成する言葉の意味
「優柔」には「やさしく、ものやわらかである」という意味と、「煮えきらず、はきはきしない」という意味があります。
「不断」も「絶えず続くこと」のほか、「決断力がなく、ぐずぐずしていること」を表します。
「優柔不断」の「不断」は、「絶え間なく続く」という意味ではありません。
「優柔不断」の古い用例
日本語の早い用例として、1885~1886年に刊行された坪内逍遙『当世書生気質』第十一回に
「君は優柔不断だからいけない」
とあります。
作品を引用した研究資料では、
「オイ小町田。どうも君は優柔不断だからいけない」
という形も確認できます。
明治中期には、現在と同じく人物の決断力の乏しさを直接評価する言葉として使われていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「優柔不断」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「優柔不断」「優柔」「不断」「優遊不断」項。
- 班固『漢書』巻九「元帝紀」賛。
- 洪邁『容斎続筆』巻九「貢薛韋匡」。
- 小谷野敦「坪内逍遥における『恋愛』―『新磨妹と背かゞみ』をめぐって」『大阪大学言語文化学』第5巻、1996年、49~59頁。
