猫に鰹節

読み
ねこにかつおぶし
意味

好物や誘惑を、それに手を出しそうな相手のそばに置き、油断できない危険な状況を作ることのたとえ。

誘惑に弱い相手のそばへ、その人が欲しがる物や手を出しやすい物を置くなど、過ちが起きやすい状況を自ら作ることを表します。大切なのは、誘惑に負ける相手だけを責めるのではなく、危険を承知でその状況を作った側にも戒めが向くことです。

意味を理解するときの注意

本人だけでなく、危険な状況を作った側への戒めも含む表現です。

「猫に鰹節」の使い方

好物を目の前に置くように、過ちや危険が起こりやすく油断できない状況のたとえ。 誘惑に弱い人の近くへ誘惑の対象を置くなど、問題が起きやすい状況を警告するときに使います。

誘惑に弱い人の近くへ誘惑の対象を置くなど、問題が起きやすい状況を警告するときに使います。

このことわざの中心本人だけでなく、危険な状況を作った側への戒めも含む表現です。
誤用・誤解に注意文字どおりの場面だけに限定せず、比喩として使われることわざです。前後の文脈に合うか確認して使います。
使うときの注意相手への批判や評価として使う場合は、言い方が強くなりすぎないよう注意します。

「猫に鰹節」の例文

1

この場面は「猫に鰹節」ということわざで表せます。

2

意味を確認してから「猫に鰹節」を使うと、意図が伝わりやすくなります。

3

猫に鰹節」の教えを、日常の判断にも生かしたい。

「猫に鰹節」の由来・背景

精選版日本国語大辞典では、17世紀初めの『甲陽軍鑑』に「猫に鰹の節」に相当する用例が示されています。

初出そのものを断定せず、確認できる辞書掲載の古い用例として扱います。

由来

猫の好物とされた鰹節を猫のそばへ置けば、食べられてしまう危険が高いという身近なたとえから生まれた表現です。精選版日本国語大辞典系の項目では、17世紀初めの『甲陽軍鑑』品五一に『猫に鰹の節を預たる』趣旨の古い用例が示されます。そこでは、重要な国郡を他人に預ける危険を、猫へ鰹節を預けることにたとえています。

資料による伝承の違い

精選版日本国語大辞典では、17世紀初めの『甲陽軍鑑』に「猫に鰹の節」に相当する用例が示されています。

由来を読むときの注意

古用例は『猫に鰹節』の短い定型そのものではなく、『猫に鰹の節を預ける』という長い形で確認されます。古用例の形と現代の定型を区別し、17世紀初めを厳密な初出年とはしません。

確認できる古い資料精選版日本国語大辞典系の項目では『甲陽軍鑑』品五一に『猫に鰹の節を預たる』趣旨の用例が示される

17世紀初めの確認例。厳密な初出年・成立年とは断定しない。

古い用例と用法の広がり

精選版日本国語大辞典では、17世紀初めの『甲陽軍鑑』に「猫に鰹の節」に相当する用例が示されています。

確認できる古い資料『甲陽軍鑑』(17世紀初)に用例が確認される。|17世紀初
確認済みの根拠資料を詳しく見る
歴史嘉永5年(1852)
歌川国芳《たとゑ尽の内》嘉永5年(1852)

歌川国芳の嘉永5年(1852)《たとゑ尽の内》では、『猫に鰹節』が『猫に小判』などとともに猫のことわざとして絵画化されている。江戸後期には言葉だけでなく視覚的な戯画の題材としても共有されていたことを示す。

歌川国芳
原資料・書誌を見る ↗
歴史1938年
玉とニー

1938年刊『玉とニー』のOCR全文では、『猫に鰹節』を説明する際に鰹節を猫の好物とする認識が明示されている。近代にもこの文化的前提が説明不要に近い形で共有されていたことを示す資料として扱う。

赤星水竹居
原資料・書誌を見る ↗
資料の該当箇所を詳しく見る
資料利用上の注意

OCR本文で確認。原画像一字単位照合は未完了のため、厳密な翻刻としては扱わない。

使用例2018年11月
北村孝一 編『ことわざを知る辞典』

『ことわざを知る辞典』では、猫が好物に手を出すこと自体より、それを承知で鰹節を預けたり近くへ置いた側に批判が向くことが解説される。単なる『誘惑に弱い人』への非難に限定しない。

北村孝一 編
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古い用例年代不詳
コトバンク『猫に鰹節』

資料上の表記:猫に鰹の節を預たる

精選版日本国語大辞典系の項目では、17世紀初めの『甲陽軍鑑』品五一に『猫に鰹の節を預たる』趣旨の用例が示される。これは現時点で辞書本文から確認できる古い用例として扱い、ことわざ自体の厳密な初出年とは断定しない。

国郡を他人へ預ける危険をたとえる文脈。

原資料・書誌を見る ↗

歴史の中で意味・使われ方はどう変わった?

誘惑に弱い人の近くへ誘惑の対象を置くなど、問題が起きやすい状況を警告するときに使います。

記事データ編集確認済み
専門レビュー専門レビュー待ち

確認状況を明示し、未確認事項を確定情報のように扱わない方針です。

研究上の扱い

「最古」と断定せず、現時点で確認できる古い資料・用例として積み上げています。資料間で作者や由来の伝承が異なる場合は、複数説を保持して比較します。

「猫に鰹節」の用例を、国立国会図書館の資料から探す

見出し語や異形をそのまま検索語にして、OCR全文資料の用例候補と年代別の出現傾向を調べられます。

OCR全文検索の結果は用例候補です。引用・年代・初出の判断では、資料画像と書誌をあわせて確認してください。Ngramのグラフは出版年代ごとの出現傾向を見るためのもので、成立年代そのものを示すものではありません。

「猫に鰹節」に関する研究・資料

このことわざを直接扱う研究

研究資料Gapur, Taulia & Pujiono (2019) “Neko ‘Cat’ in Japanese Idioms”

Abdul Gapur / Taulia / Mhd. Pujiono / International Journal of Culture and Art Studies / 2019

Gapur, Taulia & Pujiono (2019) は猫を含む日本語慣用句を分析し、『猫に鰹節』を、猫と鰹節の字義的状況から『油断できない・危険な状況』へ意味を写すメタファーとして分類している。

International Journal of Culture and Art Studies 3(1), pp.30–39
研究資料同志社女子大学 吉海直人「『猫』の慣用句」

吉海直人 / 同志社女子大学 / 2018

同志社女子大学の吉海直人による解説では、『猫に鰹節』『猫にまたたび』に加え、『猫を追うより鰹節を隠せ』『猫を追うより魚を除けよ』などが紹介される。危険の原因を取り除くという発想を共有する関連表現群として整理できる。

同志社女子大学 吉海直人「『猫』の慣用句」本文

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