雨後の筍
読み方:うごのたけのこ
「雨後の筍」の意味
物事が次々に現れたり、相次いで起こったりすることのたとえです。
特に、同じ種類のものが短い間に続々と出てくる様子に使われます。
「雨後の筍」の語源・由来
雨が降ったあと、筍が地面から次々と出てくる自然の様子を、人や物事が相次いで現れることに重ねた表現です。
中国語にも「雨後春筍」という成語があります。
宋代の趙蕃の詩には、雨のあとに筍が勢いよく伸びることを詠んだ「雨後筍怒長」という句があり、後の「雨後春筍」につながる表現とされています。
日本語の「雨後の筍」がこの四字の成語から直接成立したかどうかは、結びつきが証明されていません。
「雨後の筍」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜が雨後の筍のように現れる/増える」
次々と出てくる人や物事を主語に置く形です。「新しい店が雨後の筍のように増える」「候補者が雨後の筍のように現れる」などと使います。 - 「雨後の筍のごとく〜」
「ごとく」を使うと、やや文章語的な言い方になります。「雨後の筍のごとく新会社が生まれる」「雨後の筍のごとく施設が建つ」などの形です。
「雨後の筍」の例文
- 再開発が始まると、駅前には若者向けの飲食店が雨後の筍のように開店した。
- 新しい市場が注目されると、似たサービスを扱う会社が雨後の筍のごとく生まれた。
- 大会の人気が高まるにつれ、各地で関連イベントが雨後の筍のように企画されるようになった。
「雨後の筍」の類似表現
続出する(ぞくしゅつする)
出来事や人などが次から次へと出てくることを表す、日常でよく使われる言葉です。
「事故が続出する」「応募者が続出する」のように使い、「雨後の筍」のような自然の様子を利用した比喩の表現は含みません。
乱立する(らんりつする)
同じ種類の店、会社、施設などが数多くできる場合によく使われます。
「雨後の筍」よりも、必要以上に増えてまとまりがないという否定的な響きを伴いやすい言葉です。
「雨後の筍」の古い用例
1898年の内田魯庵『如是放語』には、「雨後の茸の如く簇生したる会社」という記述があります。
「筍」ではなく「茸(きのこ)」を使った形で、会社が相次いで生まれる様子を表しています。
当時は、「雨後の茸」という類似したたとえも使われていたことが分かります。
1917年の宮武外骨『面白半分』には、総選挙をめぐって候補者が次々と名乗りを上げる様子を「雨後の筍よろしく」と表した例があります。
この時代にはすでに、「雨後の筍」が、現在と同じく人や物事が相次いで現れる意味で使われています。
「雨後の筍」の間違いやすい使い方・表記
「雨後の筍」を、「成長が非常に早いこと」のたとえとして使うのは適切ではありません。
たとえば、子どもの背が急に伸びたことを「雨後の筍のように成長した」とするのは、本来の意味から外れます。
この表現でたとえているのは筍の成長速度ではなく、雨のあとに次々と出てくることです。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「雨後の筍」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「雨後の筍」項。
- 北村孝一編『小学館 ことわざを知る辞典』小学館、2018年、「雨後の筍」項。
- 教育部『成語典』2020年、「雨後春筍」項。
