溜飲が下がる
読み方:りゅういんがさがる
「溜飲が下がる」の意味
不平・不満・恨みなどが解消し、胸のつかえが取れたように気分がすっきりすることです。
腹立たしさやわだかまりを抱えていた人が、納得できる出来事をきっかけに気を晴らしたときに使われます。
「溜飲が下がる」の語源・由来
「溜飲」は、胃の消化がうまくいかず、酸っぱい液やげっぷがのどまで上がってくる症状を指した言葉です。
胸やけにあたる症状で、『医心方』(984年)にも「溜飲」の言葉が見受けられます。
こうした不快な症状がおさまって胸がすっきりすることから、心にたまっていた不平や不満がなくなって気分が晴れることにも「溜飲が下がる」というようになりました。
「溜飲が下がる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で溜飲が下がる」
「〜」には、不満やわだかまりが解消するきっかけとなった出来事が入ります。「相手の謝罪で溜飲が下がる」「勝訴の知らせで溜飲が下がった」などの形です。 - 「〜て溜飲が下がる」
気が晴れるきっかけとなった行為や出来事を前に置きます。「宿敵に勝って溜飲が下がる」「言いたいことを言えて溜飲が下がった」などと使います。 - 「溜飲が下がった」
すでに不満などが解消したことを述べる形です。「ようやく溜飲が下がった」「少しは溜飲が下がった」などと使われます。
「溜飲が下がる」の例文
- 長い間こちらを見下していたライバルに正々堂々と勝ち、ようやく溜飲が下がった。
- 不当な扱いについて会社から正式な謝罪があり、社員たちの溜飲が下がった。
- 悪質な反則を繰り返していた選手に厳しい処分が下されたと聞いて、少しは溜飲が下がる思いがした。
「溜飲が下がる」の類似表現
溜飲を下げる(りゅういんをさげる)
「溜飲が下がる」と意味が重なる表現です。
「溜飲が下がる」は「溜飲」を主語として気が晴れた状態を述べるのに対し、「溜飲を下げる」は「言いたいことを言って溜飲を下げる」のように、「溜飲」を目的語にして気を晴らすことを表します。
胸がすく(むねがすく)
不快な気持ちがなくなり、さっぱりした気分になることを表す点でよく似ています。
「胸がすく」は「胸がすくような活躍」のように、痛快なものを見聞きしたときにも広く使えます。
「溜飲が下がる」の古い用例
『黒手組曲輪達引』の1858年の用例には、「これで溜飲が下った」という言い回しが使われています。
ここでの「溜飲」は実際の胸やけではなく、気がかりだったことが片づいて胸がすっきりしたという比喩的な意味です。
江戸時代末期には、現在とほぼ同じ「不平やわだかまりが解消して気が晴れる」という使われ方がされています。
「溜飲が下がる」の間違いやすい使い方・表記
「溜飲が晴れる」という言い方は一般には誤りとされています。
「溜飲が下がる」または「溜飲を下げる」とするのが本来の言い方です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年、「溜飲が下がる」「溜飲」項。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「溜飲が下がる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「溜飲」「溜飲が下がる」「溜飲を下げる」項。
