目が覚める
読み方:めがさめる
「目が覚める」の意味
眠りから覚めることをいいます。
そこから意味が広がり、心の迷いがなくなって正しい判断ができるようになることや、鮮やかさ・新鮮さに触れて、眠気が飛ぶほど強い印象を受けることも表します。
迷いや思い込みから抜け出す意味では、自分の誤りや置かれている現実に気づくという含みがあり、鮮やかさを表す使い方では、色、美しさ、表現などを強くほめる場合に使われます。
「目が覚める」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で目が覚める」
助詞「で」の前に、目覚める原因や、考えを改めるきっかけを置きます。「物音で目が覚める」「友人の一言で目が覚めた」などの形です。 - 「やっと/ようやく目が覚める」
長く続いていた迷いや誤った考えから抜け出したことを表すときによく使います。「やっと目が覚めた」「ようやく目が覚める」などと使います。 - 「目が覚めるほど〜」
鮮やかさや美しさなどの程度が非常に強いことを表します。「目が覚めるほど鮮やかな赤」「目が覚めるほど美しい景色」などの形です。 - 「目の覚めるような〜」
名詞を修飾するときには、「が」が「の」になった「目の覚めるような」という形もよく使われます。「目の覚めるような青」「目の覚めるような演奏」などと続けます。鮮やかさや新鮮さを強調する表現です。
「目が覚める」の例文
- 明け方、窓を激しく打つ雨の音で目が覚めた。
- 周囲の忠告を聞き流していた彼も、大きな失敗を経験してようやく目が覚めた。
- 舞台に現れた衣装は、目が覚めるほど鮮やかな青だった。
「目が覚める」の類似表現
目を覚ます(めをさます)
「目が覚める」と意味の重なる部分が多い表現です。
「目が覚める」は、「朝六時に目が覚めた」のように、眠っていた人自身の状態が変わる言い方になります。
「目を覚ます」は「母が子どもの目を覚ます」のように、他者を起こす意味でも使えます。
比喩的な使い方でも、「厳しい現実が彼の目を覚ました」のように、迷いを解くきっかけとなったものを主語にすることができます。
我に返る(われにかえる)
「我に返る」は、驚き、興奮、夢中になっている状態などから、普段の意識や冷静さを取り戻すことをいいます。
「目が覚める」が、思い込みや誤った考えに気づく場合にも使われるのに対し、「我に返る」は、その場で一時的に失っていた冷静さを取り戻す場面に向いています。
「目が覚める」の古い用例
式亭三馬の滑稽本『浮世風呂』は、1809年から1813年にかけて刊行されました。
同作には「死だ跡で目がさめるな」という記述があり、「目がさめる」が心の迷いから覚める意味で使われています。
江戸時代後期には、すでに現在につながる比喩的な使われ方がされていました。
永井荷風の『夢の女』(1903年)には「眼も覚める程」という言い回しが見られます。
ここでは、華やかで美しい様子を強調しており、鮮やかさや新鮮さに強い印象を受ける言い方が、明治時代には使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「目が覚める」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「目が覚める」項。
- 国文学研究資料館『書物で見る日本古典文学史』「浮世風呂」。
