不意を食う
読み方:ふいをくう
「不意を食う」の意味
思いがけない事態が起きたり、予告なしに物事を仕掛けられたりして、驚いて心を乱されることです。
心構えがないところを突かれたという、好ましくない含みのある言葉です。
「不意を食う」の語源・由来
「不意」は、古くから「思いがけないこと」「突然」を指す言葉です。
「食う」は本来、食物を口にするという意味ですが、近世には「好ましくないことを身に受ける」という意味でも使われるようになりました。
ここでの「食う」は「好ましくないことを受ける」という意味で、「不意を食う」全体では「思いがけない出来事に突然見舞われる」ことを表します。
「不意を食う」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜が/は不意を食う」
驚かされた人や、対応を乱された集団を主語にします。「司会者が不意を食う」「守備陣は不意を食った」などの形です。 - 「〜に不意を食う」
助詞「に」の前には、予想外だった質問や行動などを置きます。「突然の指名に不意を食う」「相手の速攻に不意を食った」などと使います。 - 「不意を食って〜」
後ろに、その直後の反応や結果を続ける形です。「不意を食って返事に詰まる」「不意を食って動きが止まる」などと続けます。 - 「不意を食わないように〜/不意を食うことなく〜」
事前に備える場合や、冷静に対応できた場合には否定形を用います。「不意を食わないように備える」「不意を食うことなく応じる」などの形です。
「不意を食う」の例文
- 会議中に突然、計画の採算はどうなっているか問われ、担当者は不意を食って返答に詰まりました。
- 相手チームは再開直後に速攻を仕掛け、こちらが不意を食った隙に先制点を奪いました。
- 避難経路を何度も確認していたので、警報が急に鳴っても不意を食うことなく行動できました。
「不意を食う」の類似表現
不意を突かれる(ふいをつかれる)
受け手側の立場で言う場合は、多くの場面で言い換えられます。
仕掛ける側を主語にする場合は、「不意を突く」と言い換え「隙を見て相手の不意を突く」のように使います。
面食らう(めんくらう)
突然のことに驚き、まごついたりしたときに使う言葉です。
原因となった出来事よりも、受け手側の戸惑いの心境を強調したいときに使います。
「不意を食う」の古い用例
1823~1844年刊の滑稽本『和合人』第三編には、「不意(フイ)をくらってはたまらねへから」とあります。
「くらって」という語形ながら、だしぬけの事態を受ける意味は今と変わらず、江戸後期には現在の「不意を食らう」に当たる用法が使われています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「不意を食う」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「不意を食う」項、「不意」項、「食う」項。
- 松村明監修・小学館国語辞典編集部編『大辞泉』第二版、小学館、2012年、「不意を食う」項、「不意を突く」項、「面食らう」項。
