絵に描いた餅
読み方:えにかいたもち
「絵に描いた餅」の意味
見た目や計画は立派でも、実際には役に立たないものや、実現しそうにない計画をたとえる表現です。
形だけ整っていて実用が伴わないものにも使います。
「絵に描いた餅」の語源・由来
絵にどれほど立派な餅を描いても、実際に食べて空腹を満たすことはできないことから、実物が伴わず役に立たないものを餅の絵にたとえるようになりました。
よく似た発想は中国にも古くからあります。
『三国志』魏書・盧毓伝には、人を選ぶときに名声だけを頼りにしてはならないとして、名声を「地面に描いた餅は食べられない」という趣旨でたとえた記述があります。
後世の「画餅」という言葉の由来となったエピソードです。
「絵に描いた餅」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜は絵に描いた餅だ」
計画、構想、理想などを主題にして、その実効性や実現性に疑問があることを述べる形です。「その構想は絵に描いた餅だ」「理想を語るだけでは絵に描いた餅だ」などと使います。 - 「絵に描いた餅になる」
計画などが実行されず、役に立たない状態になることを述べます。「改革案が絵に描いた餅になる」「制度を絵に描いた餅にしない」などの形です。 - 「絵に描いた餅で終わる」
考えや目標が実現されないまま終わる場合に使います。「計画が絵に描いた餅で終わる」「構想を絵に描いた餅で終わらせない」などと使います。
「絵に描いた餅」の例文
- 豪華な旅行計画を立てても、休みが取れなければ 絵に描いた餅 だ。
- 生徒たちは、文化祭の企画を 絵に描いた餅で終わらせない よう、必要な費用と作業日程を細かく決めた。
- 現場の人手を考えずに作った改革案は、結局 絵に描いた餅になってしまった。
「絵に描いた餅」の類似表現
画餅(がべい)
意味はほぼ同じです。
「画餅」は漢字だけの少し硬い表現で、「計画が画餅に帰す」のような形でも使われ、「絵に描いた餅」は、日常の会話や文章を書く時にも使いやすい表現です。
机上の空論(きじょうのくうろん)
現場の実情を考えず、頭の中だけで組み立てられた議論や理論について使うことが多い表現です。
「絵に描いた餅」は議論だけでなく、計画、制度、構想などにも広く使えます。
「絵に描いた餅」の古い用例
曽我休自の仮名草子『為愚痴物語』は寛文2年(1662)に出版されています。
同書には、「古人もゑにかける餠、飢をいやさず」という表現があります。
現在の「絵に描いた餅」とは言い回しが異なり、「ゑにかける餠」という言い方ですが、絵の餅では飢えを満たせないという発想がすでに使われています。
「絵に描いた餅」の間違いやすい使い方・表記
「絵に描いたよう」と混同して、「絵に描いたような餅」とするのは誤りです。
「絵に描いた餅」が一まとまりの定型表現です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「絵に描いた餅」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「絵に描いた餠」項。
- 北村孝一編『小学館 ことわざを知る辞典』小学館、2018年、「絵に描いた餅」項。
- 国立国会図書館『為愚痴物語 8巻』書誌情報。
- 台湾教育部『成語典』「畫餅充飢」項。
