力を入れる
読み方:ちからをいれる
「力を入れる」の意味
ある物事に特に熱心に取り組み、努力を注ぐことです。
人を助けたり後援したりする意味で使われることもあります。
「腕に力を入れる」「足に力を入れる」など、身体に力を込める意味で使う場合は、文字どおりの表現です。
「力を入れる」の語源・由来
「力」は、身体を動かす働きだけでなく、気力や努力、骨折りなどの意味でも古くから使われてきた言葉です。
「力を入れる」は、物事を行うために力を込めることを表す形から、熱心に努力する意味でも使われるようになりました。
特定の故事や人物に由来する表現ではありません。
「力を入れる」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜に力を入れる」
努力を注ぐ分野や活動を助詞「に」で示します。「英語教育に力を入れる」「商品開発に力を入れる」などの形です。 - 「〜ことに力を入れる」
動作や取り組みを示す場合は、「こと」を付けて名詞化します。「人材を育てることに力を入れる」「基礎を固めることに力を入れる」などと使います。 - 「〜に力を入れている」
継続して取り組んでいることを表す形です。「研究開発に力を入れている」「地域交流に力を入れている」などと使います。 - 「力を入れて〜する」
「力を入れて」を副詞的に使い、後ろに具体的な行動を続けます。「力を入れて指導する」「力を入れて取り組む」などの形です。
「力を入れる」の例文
- 市では、子育て世代が暮らしやすい環境づくりに力を入れている。
- 来年の大会に向けて、彼はこれまで苦手だった守備の練習に力を入れた。
- 新しい校長は、知識を教えるだけでなく、生徒が自分で考える授業づくりに力を入れる方針を示した。
「力を入れる」の類似表現
重点を置く(じゅうてんをおく)
「重点を置く」は、いくつかある事柄の中で、特に大切なものとして扱うことをいいます。
「力を入れる」が実際の努力や取り組みを伴う表現なのに対し、「重点を置く」は何を重視するかを示す場合に使いやすい表現です。
打ち込む(うちこむ)
「打ち込む」は、一つの物事に全精力を注いで熱中することをいいます。
「研究に打ち込む」「仕事に打ち込む」のように、その活動に深く没頭している様子を表すため、「力を入れる」より熱中の度合いが強く感じられることがあります。
「力を入れる」の古い用例
『古今和歌集』仮名序には、「ちからをもいれずして、あめつちをうごかし」とあります。
『古今和歌集』は905年に編纂が命じられ、913~914年ごろまでに完成したとされます。
ここでは「力をも入れずして」という形で、力を費やしたり苦労したりすることなく、という意味で使われています。
現代によく見られる「教育に力を入れる」のような、特定の分野を示す使われ方とは分の組み立て方が異なります。
福沢諭吉『福翁自伝』(1899年)には、「何もそんなに力を入れる程の親切」という記述があります。
ここでの「力を入れる」は、人のために骨を折って助けるという意味で、明治時代にはすでに使われていました。
1955年の『日本のむこ殿』には「海外資源の開発に力を入れている」という記述が残されています。
「〜に力を入れる」という現代でも一般的な言い回しが、もうこの時代には見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「力を入れる」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「力を入れる」項。
- 佐伯梅友校注『古今和歌集』日本古典文学大系8、岩波書店、1958年。
- 福澤諭吉『福翁自伝』松崎欣一編『福澤諭吉著作集 第12巻 福翁自伝・福澤全集緒言』慶應義塾大学出版会、2003年。
