読み方:ちからがはいる

「力が入る」の意味

ある物事に熱心になり、いつも以上に気持ちや努力を注ぐことです。

期待や関心が高まったとき、自然に一生懸命になる様子を表せます。

「手に力が入る」のように、筋肉が緊張して実際に力がこもる意味でも使われます。

「力が入る」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「〜に力が入る」
    「〜」には、熱心に取り組む対象となる仕事、勉強、練習、応援などが入ります。「試験勉強に力が入る」「応援に力が入る」などの形です。
  • 「〜にも力が入る」
    助詞「も」を使うと、ある事情によって別の行動まで熱心になることを表せます。「準備にも力が入る」「指導にも力が入る」などと使います。
  • 「思わず/自然と力が入る」
    意識してそうするのではなく、関心や期待などから自然に熱心になる場合に使います。「話にも思わず力が入る」「応援に自然と力が入る」などの形です。
  • 「〜に力が入っている/入った」
    熱心な状態が続いている場合は「入っている」、ある時点で熱心になったことを述べる場合は「入った」とします。「練習に力が入っている」「説明に力が入った」などと使います。

「力が入る」の例文

  • 大会が近づくにつれ、部員たちは放課後の練習にも力が入るようになった。
  • 長年研究してきたテーマだけに、先生の説明には思わず力が入った
  • 地元の選手が決勝まで勝ち進み、家族の応援にも一段と力が入っている

「力が入る」の類似表現

力を入れる(ちからをいれる)

「力を入れる」は、意識して努力したり、ある分野を特に重視したりするときに使います。

「新人教育に力を入れる」のように「自分が主役になって、自ら力を注ぎ込む」というニュアンスになります。

「力が入る」は「が」を使い、期待や関心などによって自然に熱心になる場合にも使えるため、「思わず力が入る」という言い方ができます。

熱が入る(ねつがはいる)

「熱が入る」は、話し合い、練習、勝負などが次第に盛り上がり、熱心さが増す場面によく使われます。

「議論に熱が入る」「練習に熱が入る」などの形です。

「力が入る」には「手に力が入る」のような身体的な使われ方もありますが、「熱が入る」は主に意欲や盛り上がりについて使います。

「力が入る」の古い用例

『精選版 日本国語大辞典』では、『落窪物語』(10世紀後半)から「ちからいり」という言葉が挙げられています。

現在のように助詞「が」を置かない「力入る」の形で、物事に力を注ぐ意味がすでに使われています。

岡本かの子「愛よ愛」は『婦人画報』1933年2月号に発表された作品で、冒頭に「この人のうえをおもうときにおもわず力が入る」とあります。

ここでは現在と同じ「力が入る」の言い回しで、強い思いから自然に気持ちがこもる様子に使われています。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「力が入る」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「力入る」項。
  • 岡本かの子「愛よ愛」『婦人画報』1933年2月号。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。