読み方:のべつまくなし

「のべつ幕なし」の意味

休みや切れ目がなく、物事がひっきりなしに続くさまをいいます。

単に長時間続くというだけでなく、途中で間を置かず、次から次へと続いている様子を表す言葉です。

「のべつ幕なし」の語源・由来

「のべつ幕なし」は、芝居で幕を引かずに場面を進行させることに由来します。

「幕なし」は、もともと芝居で幕を引かずに場面を続けることをいう言葉でしたが、そこから、物事が絶え間なく続くことも表すようになりました。

「のべつ」も「間を置かずに続く」という意味を持ち、これらが組み合わさって「のべつ幕なし」という形になりました。

「のべつ幕なし」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「のべつ幕なしに〜する」
    「に」を付けて、途切れずに続く動作を修飾します。「のべつ幕なしにしゃべる」「のべつ幕なしに電話をかける」などの形です。
  • 「のべつ幕なし〜する」
    「に」を付けず、そのまま動詞につなげることもあります。「のべつ幕なし愚痴を言う」「のべつ幕なし食べ続ける」などと使います。
  • 「のべつ幕なしの〜」
    「の」を付けて、途切れずに続く事柄を表す名詞を修飾します。「のべつ幕なしの愚痴」「のべつ幕なしの催促」などの形です。

「のべつ幕なし」の例文

  • 彼は会議が終わってからも、のべつ幕なしに仕事の不満を話し続けた。
  • 締め切り直前になると問い合わせがのべつ幕なしに入り、担当者は昼食を取る暇もなかった。
  • 会場から寄せられるのべつ幕なしの質問に、司会者は一つずつ答えていった。

「のべつ幕なし」の類似表現

ひっきりなし(ひっきりなし)

意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。

「ひっきりなし」は日常的に幅広く使えるのに対し、「のべつ幕なし」は、話す、食べる、小言を言うなど、同じ行為が休みなく続く様子によく使われます。

絶え間なく(たえまなく)

途中で途切れないことを表す点では共通しています。

「絶え間なく」は雨、音、努力などにも使いやすい比較的中立的な表現で、「のべつ幕なし」は人の動作や繰り返される出来事にもよく使われます。

「のべつ幕なし」の古い用例

坪内逍遙『当世書生気質』には、1885~1886年の記述として「陸続(のべつ)幕なしに責かけたよ」という表現があります。

「のべつ」に「陸続」という漢字を当てていますが、「幕なしに」と続く形は現在の「のべつ幕なしに〜する」と同じです。

芝居そのものを指すのではなく、ある働きかけが途切れず続くことを表す比喩的な使われ方をしています。

「のべつ幕なし」の間違いやすい使い方・表記

「のべつくまなし」と言うことがありますが、辞書などで本来の言い方とされてきたのは「のべつまくなし」です。

文化庁の令和3年度「国語に関する世論調査」では、「のべつまくなし」を使うと答えた人が41.9%、「のべつくまなし」が27.1%でした。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「のべつ幕なし」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「のべつ幕無し」「幕無」項。
  • 文化庁『令和3年度 国語に関する世論調査』。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。