頭角を現す
読み方:とうかくをあらわす
「頭角を現す」の意味
才能や技量が周囲の人よりすぐれ、目立つようになることです。
特に、それまで大きく注目されていなかった人が実力を発揮し、優秀な存在として認められるようになる場合によく使われます。
「頭角を現す」の語源・由来
「頭角を現す」は、中国・唐代の文人である韓愈が柳宗元について書いた「柳子厚墓誌銘」に由来します。
同篇には、若いころから聡明だった柳宗元について、「能取進士第、嶄然見頭角」とあります。
「嶄然」はひときわ高く抜きん出ているという意味、「見」は「現」と同じ働きをする字で、「嶄然(ざんぜん)として頭角を現す」と読み下されます。
「頭角」は本来、頭の先を指す言葉です。
大勢の中から頭の先が抜け出して見えることになぞらえ、才能や力量が人より抜きん出ることをいうときに使います。
「頭角を現す」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「〜で頭角を現す」
「〜」には、活躍する分野や集団などが入ります。「スポーツ界で頭角を現す」「社内で頭角を現す」などの形です。 - 「〜として頭角を現す」
職業、役割、立場などを示します。「研究者として頭角を現す」「若手選手として頭角を現す」などと使います。 - 「頭角を現し始める」
実力が目立つようになってきた段階を表す形です。「高校時代から頭角を現し始める」「新人が頭角を現し始めた」などと使います。 - 「頭角を現すことなく〜」
十分に実力を示せないまま終わったことなどを述べる否定的な形です。「頭角を現すことなく引退する」「頭角を現すことなく退社した」などと続けます。
「頭角を現す」の例文
- 入社当初は目立たない存在だったが、大きな案件を成功させたことで一気に頭角を現した。
- 彼女は高校に進学すると、全国大会で好成績を残す選手として頭角を現し始めた。
- 多くの新人が競い合う中、彼は最後まで頭角を現すことなくチームを去った。
「頭角を現す」の類似表現
抜きん出る(ぬきんでる)
「抜きん出る」は、能力や成績などが他よりすぐれていることを広く表せます。
「数学の成績が抜きん出ている」のように、すでにすぐれている状態にも使えます。
「頭角を現す」は、才能や実力が目立つ存在になっていくことを述べる場合に適しています。
台頭する(たいとうする)
「台頭する」は、新しい人物や勢力などが力を伸ばし、有力な存在として現れてくることをいいます。
個人の才能だけでなく、「新興企業が台頭する」「新しい政治勢力が台頭する」のように、組織や勢力にも使えます。
「頭角を現す」は、主に人の才能や技量が目立つことについて使われます。
「頭角を現す」の古い用例
中村正直訳『西国立志編』第六編(1870~1871年)には、「諸生の中にありて、嶄然として頭角を露し、老師皆その大成を期す」という記述があります。
ここでは現在の「頭角を現す」と同じ意味で、「頭角を露す」という言い回しが使われています。
明治時代初期には、すでに人並み以上の才能を見せるという意味で用いられていたことが分かります。
「頭角を現す」の間違いやすい使い方・表記
「頭角を現す」の「あらわす」は、一般には「現す」と書きます。
「現す」には、それまで見えなかったものが姿を見せるという意味があります。
「頭角を出す」とするのは標準的な言い方ではありません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「頭角を現す」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「頭角を現す」項。
- 韓愈「柳子厚墓誌銘」。
- 中村正直訳『西国立志編』第六編、1870~1871年。
