大事を取る
読み方:だいじをとる
「大事を取る」の意味
軽々しく行動せず、用心して慎重に事に当たることです。
病気やけがを悪化させないために休む場合だけでなく、失敗や事故などを避けるために安全な方法を選ぶ場合にも使えます。
「大事を取る」の語源・由来
「大事を取る」は、重大なことを前にして細心の注意を払うことから生まれた表現とされています。
ここでの「取る」は、「安全を取る」「余裕を取る」などと同じく、ある方針や方法を選ぶという意味合いを持っています。
「大事を取る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「大事を取って〜」
慎重に考えた結果として行うことを、後ろに続ける形です。「大事を取って休む」「大事を取って欠席する」などと使います。 - 「大事を取る」
慎重な方法を選ぶことを、そのまま述語にする形です。「今回は大事を取る」「念のため大事を取る」などと使います。 - 「大事を取ったほうがいい」
相手に無理をしないよう勧めるときによく使われます。「今日は大事を取ったほうがいい」「無理せず大事を取ったほうがいい」などの形です。
「大事を取る」の例文
- 熱は下がったが、まだ体がだるかったので、大事を取って学校を休んだ。
- 天候がさらに悪化する可能性を考え、主催者は大事を取って午後の試合を中止した。
- 足の痛みが残っているなら、次の大会のことも考えて大事を取ったほうがいい。
「大事を取る」の類似表現
念には念を入れる(ねんにはねんをいれる)
十分に注意していても、さらに注意を重ねることをいいます。
「大事を取る」は危険や悪化を避けるために控えめな行動を選ぶ場合に使いやすいのに対し、「念には念を入れる」は確認や準備などを重ねる場合にも広く使えます。
石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
安全そうな場合でも、十分に確かめてから行動することをいいます。
慎重さそのものを表す点では共通しますが、「石橋を叩いて渡る」は人の慎重な性格や行動のしかたを評するときにも使われます。
「大事を取る」は、ある場面で危険を避けるために慎重な選択をする場合に向いています。
「大事を取る」の古い用例
天保9年(1838年)の人情本『英対暖語』には、「あるまひものでもなひと大事をとって、はなしにも来なんだが」という用例があります。
「大事をとって」という形で、起こるかもしれない事態を考えて慎重に行動する意味に用いられており、江戸時代後期には現在とほぼ同じ言い回しが見られます。
明治時代以降の文学作品でも使用が続きます。
夏目漱石の『坑夫』では、危険な場所で慎重に動くことを「大事を取る」と表現しています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「大事を取る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「大事を取る」項。
- 集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年、「大事を取る」項。
- 夏目漱石『坑夫』。
