幸か不幸か
読み方:こうかふこうか
「幸か不幸か」の意味
ある出来事や状態が、結果として幸運なのか不運なのか一概には判断できない、という気持ちを添える表現です。
話し手がその事実を単純に「よかった」「悪かった」と決められないときに使われます。
文脈によっては、少し皮肉を込めたり、複雑な気持ちをにじませたりすることもあります。
「幸か不幸か」の使い方
「幸か不幸か」は、文の一部に入り、後ろに続く出来事や状態について話し手の評価を添える形で使われます。
次のような型がよく使われます。
- 「幸か不幸か、〜」
文の初めに置き、そのあとに出来事や状態を続けます。「幸か不幸か、予定が空いた」「幸か不幸か、彼だけが残った」などの形です。 - 「〜は幸か不幸か、〜」
人や物事を先に示し、その人や物事について述べる形です。「私は幸か不幸か、その場にいた」「彼は幸か不幸か、失敗を恐れない」などと使います。
「幸か不幸か」の例文
- 幸か不幸か、雨で試合が中止になり、けがをしていた選手には休養する時間ができた。
- 私は幸か不幸か、その会社の内情を知っていたため、問題が起きたときに相談役を任されることになった。
- 彼は幸か不幸か、人からどう見られるかをほとんど気にしないので、大胆な行動で周囲を驚かせることがある。
「幸か不幸か」の類似表現
良くも悪くも(よくもわるくも)
物事に長所と短所、好ましい面と好ましくない面の両方があることを述べる表現です。
「良くも悪くも個性的だ」のように、同じ性質を二つの面から評価するときによく使います。
「幸か不幸か」は、出来事や状態そのものを幸運と見るべきか不運と見るべきか決めかねる場合に使いやすい表現です。
吉と出るか凶と出るか(きちとでるかきょうとでるか)
行動や選択の結果が、よい方向に進むか悪い方向に進むかまだ分からないことを表します。
「思い切って方針を変えたが、吉と出るか凶と出るか」のように、これから結果が明らかになる場面によく使われます。
「幸か不幸か」は、すでに起きている事実について、その評価が一つに決められない場合にも使えます。
「幸か不幸か」の古い用例
国木田独歩の『酒中日記』には、「然し幸か不幸か、大河という男今以て生ている」とあります。
『酒中日記』は1902年(明治35年)11月の『文芸界』に発表された作品です。
ここでは「幸か不幸か」が「生ている」という事実の前に置かれており、明治時代には現在とほぼ同じ、話し手の複雑なニュアンスや気持ちを付け足す副詞的な使い方が見られます。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「幸か不幸か」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
- 国木田独歩『酒中日記』、『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』新潮文庫、新潮社、1970年。
