有卦に入る
読み方:うけにいる
「有卦に入る」の意味
幸運にめぐりあって、よいことが続くことを意味する慣用句です。
物事が次々とうまく運び、好調な状態が続いている場合に使われます。
「有卦に入る」の語源・由来
「有卦」は、陰陽道で吉運に当たる年回りのことです。
人の年回りを生年と五行、十二運の関係から吉と凶に分け、有卦は七年間、その後の「無卦(むけ)」と呼ばれる凶の年回りは五年間続くとされました。
「有卦に入る」は、もともとこの吉運の年回りに入ることを表した言葉です。
有卦・無卦は、もとは一年十二か月に配されたものが、唐のころから七年と五年に分ける形になったとされます。
日本では有卦入りを祝う習慣もあり、「ふ」の付く物を七つ集める「有卦振る舞い」が行われました。
もとの年回りを表す使い方から、やがて実際の暦や占いにかかわらず、幸運が続くことにも使われるようになりました。
「有卦に入る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「有卦に入る」
幸運が続き始めることをいう形です。「商売が当たって有卦に入る」「勝負運に恵まれて有卦に入る」などと使います。 - 「有卦に入った」
いくつものよい出来事が続いた人や組織について使えます。「新商品が次々と当たり、有卦に入った」「連勝を重ねて有卦に入った」などの形です。 - 「有卦に入っている」
好調な状態が続いていることを表します。「最近の彼は有卦に入っている」「あの店はすっかり有卦に入っている」などと使います。
「有卦に入る」の例文
- 新商品のヒットに続いて大型契約も決まり、会社はすっかり有卦に入っている。
- 予想外の優勝を果たしたうえに自己ベストまで更新し、彼は有卦に入ったような好調ぶりを見せた。
- くじに当たり、探していた部屋もすぐに見つかって、母は「今年は有卦に入ったみたいだね」と笑った。
「有卦に入る」の類似表現
つきが回る(つきがまわる)
意味は近く、運がよくなってきたことを表します。
「つきが回る」は、それまで思うようにいかなかった人に幸運がめぐってくる場合にもよく使われます。
「有卦に入る」は、よいことが続いている状態を表すのにも適しています。
波に乗る(なみにのる)
好調が続く場面では似ていますが、「波に乗る」は、成功などをきっかけに勢いがつき、そのまま順調に進むことを表します。
運のよしあしだけでなく、仕事や競技などで勢いに乗って成果を伸ばす場合にも使えます。
「有卦に入る」の古い用例
「有卦」という語は、室町時代の辞書『運歩色葉』(1548年)に見られます。
江戸時代前期には、「有卦に入る」という形がすでに使われていました。
1656年の俳諧『玉海集』には、「藤本恵佐有気に入たる祝ひすとて」とあります。
「有気」という表記が使われ、実際に吉運の年回りに入ったことを祝う意味で用いられています。
同じ1656年の俳諧『ゆめみ草』には、「釣り取るやうけに入たる桜鯛」という句があります。
こちらでは、年回りそのものではなく、よい運にめぐりあう意味で使われており、江戸時代前期には現在につながる使われ方も見られます。
「有卦に入る」の間違いやすい読み方
「有卦に入る」の「入る」は「いる」と読みます。「うけにはいる」とは読みません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「有卦に入る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「有卦」「有卦に入る」項。
