悦に入る
読み方:えつにいる
「悦に入る」の意味
物事がうまくいき、満足して喜ぶことを意味する慣用句です。
自分の成果や思いどおりの結果に満足し、気をよくしている様子に使われます。
必ずしも悪い意味ではありませんが、他人について使うと、得意げな様子を少しからかうような響きを帯びることがあります。
「悦に入る」の語源・由来
「悦」は、喜ぶこと、うれしがることを意味します。
「入る」は、ここでは、ある状態に達するという意味で、「佳境に入る」などの「入る」と同じ使い方です。
「悦に入る」は、喜びや満足を感じる状態になることを表す言い方です。
「悦に入る」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「ひとり悦に入る」
自分だけで満足して喜んでいる様子を表すときによく使われます。「ひとり悦に入る」「ひとり悦に入っている」などの形です。 - 「〜て悦に入る」
「〜て」の前に、満足するきっかけとなった行動や出来事を置けます。「出来栄えを眺めて悦に入る」「成功を思い出して悦に入る」などと使います。 - 「悦に入っている」
満足して喜んでいる状態が続いていることを表します。「すっかり悦に入っている」「ひとり悦に入っている」などの形です。 - 「悦に入った〜」
後ろに「表情」「様子」などを続ける連体形です。「悦に入った表情」「悦に入った様子」などと使います。
「悦に入る」の例文
- 苦労して仕上げた模型を何度も眺めながら、父はひとり悦に入っていた。
- 自分の予想どおりに試合が進み、彼は「やっぱりそうなると思った」と悦に入った。
- 難しい問題を真っ先に解いた生徒は、答え合わせの間も悦に入った表情を浮かべていた。
「悦に入る」の類似表現
ほくそ笑む(ほくそえむ)
物事が思いどおりになったことなどを喜び、ひそかに笑うことをいいます。
「悦に入る」は満足している心の状態を広く表せますが、「ほくそ笑む」は、その満足が人に気づかれないよう、ひそかに笑みを浮かべるような場面に向いています。
得意になる(とくいになる)
自分の思いどおりになったことなどに満足し、誇らしい気持ちになることです。
「得意になる」は誇らしさが前面に出やすく、「得意な顔」「得意げに話す」のような言い方にもつながります。
「悦に入る」の古い用例
源顕兼が編んだ鎌倉初期の説話集『古事談』は、1212年から1215年ごろに成立したとされています。巻三には、「此僧も悦入」とあります。
「悦入」という漢字の形で、現在の「悦に入る」に当たる表現が鎌倉初期にはすでに使われていました。
「悦に入る」の間違いやすい使い方・表記
「悦に入る」の「入る」は、「はいる」ではなく「いる」と読みます。
「えつにはいる」ではなく、「えつにいる」が正しい読み方です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「悦に入る」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「悦に入る」項。
- 集英社辞典編集部編『ルーツでなるほど慣用句辞典』集英社、1991年、「悦に入る」項。
