読み方:ちからをかす

「力を貸す」の意味

相手のために手助けをしたり、助力したりすることです。

自分の能力や労力を相手のために提供することをいい、ここでの「貸す」は、物を一時的に使わせる意味ではなく、能力や働きを人のために用いる意味で使われています。

「力を貸す」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「人・組織に力を貸す」
    助ける相手を助詞「に」で示します。「困っている友人に力を貸す」「地域の団体に力を貸す」などの形です。
  • 「力を貸してほしい/力を貸してください」
    相手に協力を求める形です。「この企画に力を貸してほしい」「再建に力を貸してください」などの言い方があります。
  • 「〜が力を貸す/力を貸してくれる」
    助ける側を主語として示す形です。「専門家が力を貸す」「仲間が力を貸してくれた」などと使います。

「力を貸す」の例文

  • 地域の祭りを復活させるため、商店街の若手が力を貸してくれました
  • この調査は一人では進められないので、経験のある先輩に力を貸してほしいと頼みました。
  • 親しい相手に頼まれても、不正な計画に力を貸すつもりはありません。

「力を貸す」の類似表現

手を貸す(てをかす)

意味は大きく重なり、多くの場面で言い換えられます。

「手を貸す」は「手伝う」という響きを持つため、作業を一緒に行うなど、具体的な手助けにもよくなじみます。

「力を貸す」は労力だけでなく、能力や経験などを生かした協力にも使いやすい表現です。

力添え(ちからぞえ)

「力添え」は、他人の仕事などを手助けすることを表す名詞です。

「お力添え」という形にすると改まった言い方になり、依頼や感謝を述べる場面にも使えます。

「力を貸す」は動詞を含むため、「力を貸してほしい」「力を貸してくれた」のように会話の中に取り入れて広く使えます。

「力を貸す」の古い用例

1893年の落語『お節徳三郎連理の梅枝』には、三代目春風亭柳枝の口演として「助力(チカラ)を貸して献げやう」という記述があります。

「助力」と書いて「ちから」と読ませ、「貸す」と組み合わせた形で、明治時代後期には人を手助けする意味で用いられていました。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「力を貸す」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「力を貸す」「貸す」「手を貸す」「力添え」項。
ABOUT ME
北澤篤史
ことわざ学会理事。ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語・漢字熟語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。