素知らぬ顔
読み方:そしらぬかお
「素知らぬ顔」の意味
事情を知っているのに、何も知らないような顔つきや態度を装うことです。
本人が実際には知っているという点が重要で、単に事情に気づいていない人の表情には使いません。
秘密を知っていることを隠したり、自分の関与を悟られないようにしたりする場面でも用いられます。
「素知らぬ顔」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「素知らぬ顔をする」
知っていることを表情や態度に出さないよう装う形です。「彼は素知らぬ顔をする」「事情を知りながら素知らぬ顔をした」などと使います。 - 「素知らぬ顔で〜」
「で」の後ろに動作を続け、その動作を何も知らない様子で行うことを示します。「素知らぬ顔で通り過ぎる」「素知らぬ顔で話を聞く」などの形です。 - 「素知らぬ顔をして〜」
「して」の後ろに別の動作を続けます。「素知らぬ顔をして席に戻る」「素知らぬ顔をして質問する」などと使います。
「素知らぬ顔」の例文
- いたずらの犯人を知っていた弟は、母に尋ねられても素知らぬ顔をしてテレビを見続けていました。
- 駅で昔の知人と目が合ったものの、相手は素知らぬ顔でそのまま改札へ向かいました。
- 発表内容を事前に聞かされていた彼女は、周囲に気づかれないよう素知らぬ顔で結果を待っていました。
「素知らぬ顔」の類似表現
何食わぬ顔(なにくわぬかお)
多くの場面で「素知らぬ顔」と言い換えられます。
「何食わぬ顔」は、自分がしたことや関係していることを隠し、何事もなかったように平然としている場合に特に使いやすい表現です。
「素知らぬ顔」は、自分が当事者でなくても、知っている事実を知らないように装う場合に使えます。
知らん顔(しらんかお)
「知らん顔」にも、知っているのに知らないふりをする使い方がありますが、人を意図的に無視したり、困っている相手に関心を示さなかったりする意味でも使われます。
「あいさつしても知らん顔をされた」のような使い方では、相手が何かを知っているかどうかより、取り合わない態度が問題になります。
「素知らぬ顔」は、知っていることを隠す意味がより明確です。
「素知らぬ顔」の古い用例
江戸時代1622年の『三体詩素隠抄』には、「そしらぬかをで、歌を唱へて」という記述があります。
「そしらぬかを」という言い回しで、知っていながら知らない様子を装う顔つきを指しており、17世紀前半には現在とほぼ同じ意味の使われ方がされています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「素知らぬ顔」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「素不知顔」項。
