読み方:つつうらうら(つづうらうら)

「津津浦浦」の意味

「津津浦浦」とは、全国のいたるところ、国じゅうを意味します。

もともとは、あちこちの港や海岸を指す言葉です。

「津津浦浦」の語源・由来

「津」は船着き場や港、「浦」は入り江や海岸、海辺を指します。

これらを「津津」「浦浦」と重ねることで、数多くの津と浦を広く表したものです。

古くは実際の港や海岸を広く指す用法が見られ、のちには場所を水辺に限らず、「全国いたるところ」という意味でも使われるようになりました。

「津津浦浦」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「津津浦浦に〜」
    後ろに「行き渡る」「知れ渡る」「広がる」などを続けます。「津津浦浦に行き渡る」などの形です。
  • 「津津浦浦を〜」
    各地を移動することを表す動詞を続けます。「津津浦浦を巡る」「津津浦浦を旅する」などと使います。
  • 「全国津津浦浦に〜」
    「全国」を前に置いて範囲をはっきり示すこともあります。「全国津津浦浦に届ける」などの形です。

「津津浦浦」の例文

  • この商品は発売後まもなく、津津浦浦に広まっていった。
  • 若いころは仕事で日本の津津浦浦を訪ね歩いた。
  • 地域に残る昔話を集めるため、調査員が全国津津浦浦を巡っている。

「津津浦浦」の類似表現

四方八方(しほうはっぽう)

「四方八方」は、あらゆる方向を指す言葉です。

「四方八方に逃げる」「四方八方を探す」のように、方向や動きについても使えます。

「津津浦浦」は、主に各地・各所という場所の広がりを表します。

全国各地(ぜんこくかくち)

「全国各地」は、日本国内のさまざまな場所を直接表す言い方です。

「津津浦浦」が全国いたるところという意味で使われる場合は、多くの文脈で「全国各地」と言い換えられます。

「津津浦浦」の古い用例

14世紀後半の『太平記』巻第七には、

「国人いつしか心替して、津々浦々を堅めふせぎける間」

とあります。

「津々浦々を」の後ろに「堅めふせぐ」と続き、各地の港や海岸を固めて防ぐという具体的な場所を指しています。

国木田独歩の『日の出』には、明治36年(1903年)に

「日本全国津々浦々までも行わたって居る筈の文明の恩沢も」

という用例があります。

「日本全国」を伴い、水辺だけでなく全国の隅々までという広い意味で使われています。

「津津浦浦」の間違いやすい使い方・表記

「津津浦浦」は、「津々浦々」とも表記します。

「々」は同じ漢字を繰り返すことを示す記号なので、「津々浦々」と「津津浦浦」は同じ言葉です。

古い文献や現代の文章でも「津々浦々」の表記が見られます。

読み方は「つつうらうら」のほか、「つづうらうら」も用いられます。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「津津浦浦」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「津津浦浦」項。
  • 『太平記』巻第七「船上合戦事」。
  • 国木田独歩『日の出』、初出『教育界』第二巻第三号、金港堂、1903年。
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。