単刀直入
読み方:たんとうちょくにゅう
「単刀直入」の意味
「単刀直入」とは、前置きや遠回しな言い方をせず、すぐに本題や要点へ入ることです。
「単刀直入」の語源・由来
出典として挙げられるのは、北宋の道原が1004年に編んだ禅宗史書『景徳伝灯録』巻十二です。
廬州澄心院旻徳和尚の条には、
若是作家戰將、便請單刀直入、更莫如何若何
とあり、現在の「単刀直入」と同じ四字が「單刀直入」の形で実際に使われています。
「單」は現在の「単」に当たる字で、故事の内容を後世に四字へまとめた表現ではありません。
ここでいう「単刀」は一振りの刀、「直入」はまっすぐ入り込むことです。
腕の立つ戦士が一刀を手に敵へ斬り込む姿を禅の教えに用いた表現で、その直接的な動きが、言葉や文章で回り道をしないことの比喩へ発展しました。
「単刀直入」の使い方
次のような形で使われます。
- 「単刀直入に〜」
後ろに「言う」「尋ねる」「切り出す」「伝える」などの動作を続けます。「単刀直入に答える」「単刀直入に用件を伝える」などの形です。 - 「単刀直入な〜」
後ろに「質問」「言い方」「物言い」「話し方」などを続けます。「単刀直入な質問」「単刀直入な話し方」などと使います。
「単刀直入」の例文
- 会議の残り時間が少なかったので、司会者は単刀直入に結論を求めました。
- 記者の単刀直入な問いかけに、監督は少し間を置いて答えました。
- 取引先との面談で、彼女は予算の上限を単刀直入に伝えました。
「単刀直入」の類似表現
開口一番(かいこういちばん)
話し始めて最初に何を言ったかを示す表現です。
最初の発言が本題や核心に触れているかどうかまでは問いません。
率直(そっちょく)
考えや気持ちを飾ったり隠したりせずに示すことです。
話の順序よりも、発言や態度に裏表がないことを重視します。
「単刀直入」の古い用例
日本の文献では、禅僧・愚中周及の『丱余集』(1409年ごろ)「覚禅人求警策語」に
「單刀直入昏蒙去」
とあり、少なくとも15世紀初頭には、日本の禅僧による漢文に「單刀直入」の四字形が使われていました。
さらに、志賀直哉『暗夜行路』(1921~37年)には
「単刀直入に書いて了へば」
という用例があり、近代には現在と同じ「単刀直入に」の形が文学作品で使われています。
「単刀直入」の間違いやすい使い方・表記
「短刀直入」と書くのは誤りです。
正しくは「単刀直入」で、「単」を「短」に替えません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「単刀直入」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「単刀直入」項。
- 道原『景徳伝灯録』巻十二(高楠順次郎編『大正新脩大蔵経』第51巻、大正一切経刊行会、1928年所収)。
- 愚中周及『大通禅師語録』「丱余集」(高楠順次郎編『大正新脩大蔵経』第81巻、大正一切経刊行会、1931年所収)。
- 中華民国教育部『成語典』「單刀直入」項。
