読み方:かいこういちばん

「開口一番」の意味

「開口一番」は、話を始めるやいなや、まず最初に、という意味です。

多くは、相手が最初に何を言ったか、どのような話題を持ち出したかを述べるときに使います。

寄席や落語会では、最初に高座へ上がる前座や、その最初の一席を「開口一番」と呼ぶこともあります。

「開口一番」の使い方

次のような形で使われます。

  • 「開口一番、〜と言う」
    最初に発した言葉を続けます。「開口一番、『無理です』と言う」「開口一番、礼を言う」などの形です。
  • 「開口一番、〜を話す/切り出す」
    最初に持ち出した話題を続けます。「開口一番、仕事の話をする」「開口一番、退職の話を切り出す」などと使います。
  • 「開口一番、〜と尋ねる」
    会話の最初にした質問を示します。「開口一番、結果を尋ねる」「開口一番、理由を聞く」などの形です。
  • 「開口一番を務める」
    寄席や落語会で、最初の高座を担当する場合に使います。「若手が開口一番を務める」などの形です。

「開口一番」の例文

  • 部長は会議室に入ると、開口一番「この計画は見直そう」と言った。
  • 久しぶりに会った友人は、開口一番、旅行中に起きた失敗談を話し始めた。
  • 若手の落語家がその日の開口一番を務め、続く演者へ高座をつないだ。

「開口一番」の類似表現

第一声(だいいっせい)

人が最初に発する声や言葉そのものを指します。

「帰国後の第一声」「当選後の第一声」のように、最初の発言を名詞として示す場合によく使います。

口火を切る(くちびをきる)

他の人に先立って、話や行動を始めることをいいます。

複数の人がいる場で最初に発言する場合などに使われ、「議論の口火を切る」「質問の口火を切る」のような形を取ります。

「開口一番」を構成する言葉の意味

「開口」は、口を開くことから、話し始めることを意味します。

「一番」は、ここでは順序の最初という意味です。

「開口一番」で、口を開いた最初、すなわち話し始めてすぐという形になります。

「開口一番」の古い用例

夏目漱石の『倫敦消息』(1901年)には、

「開口一番ちょっと休まなければやり切れないくらいのものだ」

とあります。

ロンドンの下宿で、早口の英語を聞くことに疲れた様子を語る箇所で、「開口一番」が後ろの発言や行動につながる形で使われています。

現在と同じく、話し始めてすぐという用法です。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「開口一番」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「開口一番」項。
  • 夏目漱石『倫敦消息』、『夏目漱石全集10』ちくま文庫、筑摩書房、1988年。
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。