連帯責任
読み方:れんたいせきにん
「連帯責任」の意味
複数の人や組織が、ある行為やその結果について共同で負う責任です。
政治では、内閣が行政権の行使について国会に対して一体として負う責任を指すこともあります。
「連帯責任」の語源・由来
「連帯責任」は、少なくとも明治17年(1884)には近代法の編纂資料で使われていました。
ヘルマン・リョースレルが起草し、日本側で翻訳された『ロエスレル氏起稿商法草案』第812条には、
「該負債者ト連帯責任ヲ負フ者トス」
とあります。
草案は1884年1月に完成しており、この時点で現在と同じ「連帯責任」の四字形が法律用語として用いられていました。
現在の語形がこの翻訳作業で初めて作られたかどうかまでは明らかではありません。
「連帯責任」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「連帯責任を負う」
人や組織が共同で責任を引き受けることを述べます。「役員が連帯責任を負う」「関係者全員が連帯責任を負う」などの形です。 - 「連帯責任を問う」
一人だけでなく、関係する複数の人へ責任を求める場合に使います。「幹部の連帯責任を問う」「組織全体の連帯責任を問う」などと使います。 - 「連帯責任で〜」
責任を集団全体に及ぼすことを示します。「連帯責任で活動停止になる」「連帯責任で全員を処分する」などの形です。
「連帯責任」の例文
- 不祥事を防げなかった経営陣も、一定の連帯責任を負うことになった。
- 一人の規則違反を理由に部員全員へ連帯責任を求める処分には、保護者から異論が出た。
- 担当者だけでなく、その計画を承認した管理職にも連帯責任を問うべきだという声が上がった。
「連帯責任」の類似表現
共同責任(きょうどうせきにん)
複数の人が責任を共にすることを広く表す言葉です。
「連帯責任」は法律や組織運営などで、関係する者が結びついて責任を負うことを示す場合にも用いられます。
一蓮托生(いちれんたくしょう)
行動や運命を最後まで共にすることをいいます。
責任そのものを共同で負うことを表す「連帯責任」とは、使う場面が異なります。
「連帯責任」の古い用例
明治29年(1896)11月13日の『東京日日新聞』には、
「重役は連帯責任を以て一時他銀行より借入金を為し」
という用例があります。
銀行の重役たちが共同して借入れの責任を負う場面で使われており、明治期には金融に関する文章ですでに「連帯責任」が用いられていました。
夏目漱石の小説『それから』(1909)では、
「早晩平岡から表向きに、連帯責任を強ひられて」
とあります。
ここでは法律の条文ではなく、人間関係の中で共同の責任を求められることを表しており、20世紀初頭には文学作品でも使われていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「連帯責任」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「連帯責任」項。
- ヘルマン・リョースレル『ロエスレル氏起稿商法草案』司法省、1884年。
- 高野裕郎「明治23年商法計算規定の制定の背景―商法の形成過程に対する考察を中心に―」『イノベーション・マネジメント』18、2021年、247~263頁。
- 夏目漱石『それから』1909年。
- 『日本国憲法』第66条第3項。
