無茶苦茶
読み方:むちゃくちゃ
「無茶苦茶」の意味
「無茶苦茶」とは、筋道が立たず道理に合わないこと、物事がひどく乱れたり台無しになったりすることです。
程度が並外れてはなはだしいことを表す場合もあります。
「無茶苦茶」の語源・由来
「無茶苦茶」は「むちゃ」を強めた言葉で、「無茶苦茶」という漢字は当て字です。
「茶」が飲み物のお茶を指しているわけではなく、「客に茶を出さないことが無茶、苦い茶を出すことが苦茶」という説明には確かな根拠がありません。
「むちゃ」の語源については、仏教語の「無作(むさ)」から生じたという説がありますが、直接のつながりには疑問も残ります。
中世から使われた「むさむさ」「むさと」「めたと」など、乱れた様子や度を越した様子を表す音の似た言葉が互いに影響し、その流れの中から「むちゃ」が生まれたと考える説があります。
「くちゃ」は語調を整えながら「むちゃ」を強める働きを持つと考えられます。
中国古典の故事から成立した四字熟語ではなく、日本語の中で生まれた表現です。
「無茶苦茶」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「無茶苦茶な〜」
後ろに「話」「要求」「計画」「値段」などを続けます。「無茶苦茶な要求」「無茶苦茶な計画」などの形です。 - 「〜を無茶苦茶にする」
乱したり台無しにしたりする対象を前に置きます。「部屋を無茶苦茶にする」「予定を無茶苦茶にする」などと使います。 - 「無茶苦茶に〜」
後ろに動作を続けます。「無茶苦茶に暴れる」「無茶苦茶に散らかす」などの形です。 - 「無茶苦茶〜」
程度が非常にはなはだしいことを表すとき、後ろに状態を表す言葉を続けます。「無茶苦茶忙しい」「無茶苦茶高い」などと使います。
「無茶苦茶」の例文
- 人手も予算も考えずに一週間で完成させろというのは、無茶苦茶な要求です。
- 引っ越しの荷物を広げたままにしていたので、部屋の中が無茶苦茶になってしまいました。
- 今日は朝から問い合わせが途切れず、無茶苦茶忙しかったです。
「無茶苦茶」の類似表現
滅茶苦茶(めちゃくちゃ)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「滅茶苦茶」は「めちゃくちゃ」と読み、「無茶苦茶」は「むちゃくちゃ」と読む点が異なります。
支離滅裂(しりめつれつ)
話や文章、考えなどのつながりがばらばらで、筋道が通らない場合によく使います。
「程度が非常にはなはだしい」という意味では、通常「支離滅裂」は使いません。
「無茶苦茶」の古い用例
1749年の浄瑠璃『双蝶蝶曲輪日記』には、
「むちゃくちゃした事」
という形があります。
この用例は、乱れもつれた気持ちや「むしゃくしゃ」に近い意味で使われたものとして伝えられており、「むちゃくちゃ」には現在とは異なる意味もあったことが分かります。
1773年の浄瑠璃『摂州合邦辻』には、
「むちやくちやな娘」
という用例があります。
「な」を伴って人物を評する形で、道理をわきまえないという現在にも通じる意味で使われています。
坪内逍遥の『当世書生気質』(1885~1886年)には、
「無茶苦茶の自得流」
という表記があります。
江戸時代の用例では仮名書きが見られる一方、この例では「無茶苦茶」という漢字表記で、後ろの名詞を「の」で修飾しています。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「無茶苦茶」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「無茶苦茶」項。
- 飯間浩明「むちゃくちゃ」『考える人』、2016年12月6日。
- 日国友の会「むちゃくちゃ【無茶苦茶】」用例カード、2012年8月29日公開。
