読み方:もんがいふしゅつ

「門外不出」の意味

「門外不出」とは、貴重な品物・書物・技術などを外部へ持ち出したり、他人に見せたり貸したりせず、大切に秘蔵することです。

「門外不出」の語源・由来

「門外」は門の外、「不出」は外へ出ないこと、または外へ出さないことです。

「門外不出」は、この二つを組み合わせた「門の外へ出さない」という意味の表現です。

特定の中国古典や故事に直接結び付く典拠は確認されていません。

また、現在と同じ四字の形がいつ成立したのかも明確ではありません。

「門外不出」の使い方

次のような型がよく使われます。

  • 「門外不出の〜」
    後ろに、外部へ出さずに守っている物や技術などを続けます。「門外不出の秘仏」「門外不出の設計図」などの形です。
  • 「〜を門外不出とする」
    外部へ出したり公開したりしないものを前に置きます。「製法を門外不出とする」「資料を門外不出とする」などと使います。

「門外不出」の例文

  • その旧家では、代々受け継いできた古文書を門外不出の資料として保管しています。
  • 老舗は、商品の味を支える調合方法を門外不出として守ってきました。
  • 長く門外不出だった寺宝が、特別展で初めて一般に公開されました。

「門外不出」の類似表現

一子相伝(いっしそうでん)

学問や技術などを、ただ一人の子や後継者に伝えることです。

「誰に伝えるか」を表す言葉なので、品物を外部へ持ち出さない場合には通常使いません。

他言無用(たごんむよう)

聞いたことを他人に話してはいけないという意味で、秘密や情報について使います。

美術品や書物など、実物を外へ出さないことについては「門外不出」が適しています。

「門外不出」の古い用例

『三河物語』

大久保忠教の『三河物語』の写本には、「門外不出」が繰り返し使われています。

西尾市岩瀬文庫所蔵本の元奥書には、元和8年(1622)の日付とともに、

「子共ニ譲テ後門外不出者也」

とあります。

子孫に譲る書物を家の外へ出さないよう命じた文言です。

現存する同本は元文2年(1737)の写本ですが、別系統の写本にも「門外不出」の語形が伝わっています。

森鴎外『護持院原の敵討』

大正2年(1913)に発表された森鴎外の『護持院原の敵討』には、

「門外不出で暮してゐる」

とあります。

ここでは品物ではなく、人が人目を避けて家から出ずに暮らすことを指しています。

「門外不出」には、このような「自宅に閉じこもる」という用法もかつて見られました。

参考文献・出典

  • 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
  • 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「門外不出」項。
  • 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年。
  • 大久保忠教『三河物語』。西尾市岩瀬文庫所蔵写本、元文2年(1737)書写。
  • 森鴎外『護持院原の敵討』、「ホトトギス」、1913年10月。
ABOUT ME
北澤篤史
四字熟語・漢字熟語・ことわざ・慣用句・故事成語を対象に、語源・由来、古い用例、文献上の変遷を研究している。ことわざ学会理事。2025年度ことわざ研究奨励賞受賞。著書に『〈試験に出る〉マンガでわかる おもしろい四字熟語図鑑』『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(いずれも講談社)がある。