九分九厘
読み方:くぶくりん
「九分九厘」の意味
「九分九厘」とは、ほとんど完全に近いこと、また予測や推測がほぼ確実であることです。
「九分九厘」の語源・由来
「九分九厘」は、全体を「十分」とした割合の表し方から生まれた言葉です。
「分」は十分の一、「厘」は百分の一を表し、九分九厘は全体の百分の九十九に当たります。
「十分に一厘だけ足りない」というところから、完全にごくわずかだけ届かない状態を表す語になりました。
特定の中国古典や故事をもとにした四字熟語ではなく、割合を表す「分」「厘」を組み合わせた表現です。
「九分九厘」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「九分九厘〜だ」
後ろに判断や見込みを続けます。「九分九厘大丈夫だ」「九分九厘無理だ」などの形です。 - 「九分九厘〜する」
成否や将来の出来事について述べるときに使います。「九分九厘合格する」「九分九厘完成する」などと続けます。 - 「九分九厘の〜」
後ろに「成功」「確率」などを続けます。「九分九厘の成功」のように使います。
「九分九厘」の例文
- 長年の調査結果がそろい、研究チームは原因の特定に九分九厘成功したと判断しました。
- 相手のこれまでの言動を考えれば、今回も約束を断るのは九分九厘間違いないでしょう。
- 工事は九分九厘まで終わっており、残るのは設備の最終点検だけです。
「九分九厘」の類似表現
十中八九
読み方:じっちゅうはっく
「十中八九」は「十のうち八か九」をもとにした表現で、予想などについて「おおかた」「ほとんど」という場合に使います。
「九分九厘」は完成の程度についても使えるのに対し、「十中八九」は見込みや推測を述べる場面で使われることが多い語です。
「九分九厘」の古い用例
河竹黙阿弥の歌舞伎『黒手組曲輪達引』は、安政5年(1858年)に江戸の市村座で初演されました。
第二幕には、
「十のものなら九分九厘勝に違ひはあるめえが」
という用例があります。
1858年にはすでに、「九分九厘」を勝敗の見込みがほぼ確実であることに用いていたことが分かります。
「九分九厘」の間違いやすい使い方・表記
「九分九厘」は「くぶくりん」と読みます。
「きゅうぶきゅうりん」とは読みません。
また、「九分九厘」を「9.9%」と考えないよう注意が必要です。
この言葉では「分」を全体の十分の一、「厘」を百分の一としているため、数に置き換えれば99%に相当します。
野球の打率などで使う「三割二分五厘」の「分」「厘」は、「割」を基準にした単位なので数え方が異なります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「九分九厘」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「九分九厘」項。
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』「九分九厘」。
- 独立行政法人日本芸術文化振興会「文化デジタルライブラリー」黙阿弥作品解説。
