一期一会
読み方:いちごいちえ
「一期一会」の意味
「一期一会」は、一生に一度だけの出会いや機会であること、また、その一度を大切にする心構えをいいます。
茶の湯から生まれた言葉ですが、現在は人との出会いや、その時にしか得られない経験についても広く使われます。
「一期一会」の語源・由来
「一期一会」のもとになった考えは、千利休の高弟・山上宗二が記した茶の湯の伝書『山上宗二記』にあります。
同書は天正16年(1588)から同18年(1590)頃にかけて弟子たちへ与えられた伝書で、利休の言葉として
「一期ニ一度ノ会ノヤウニ」
とあります。
何度行う茶会であっても、その一回を生涯に一度の会と心得て臨むことを説いたものです。
『山上宗二記』には、現在と同じ「一期一会」という四字の形はありません。
「一期に一度の会」という表現がもとになり、のちに「一期一会」の四字にまとめられました。
「一期一会」の使い方
次のような形で使われます。
- 「一期一会の〜」
後ろに「縁」「出会い」「精神」などを続けます。「一期一会の縁」「一期一会の精神」などの形です。 - 「一期一会を大切にする」
人との出会いや、その場限りの機会に向き合う姿勢について使います。「一期一会を大切にする生き方」などと続けることもできます。 - 「一期一会だ」
出会いや出来事を、その時にしかないものとして述べるときに使います。「旅先での出会いは一期一会だ」などの形です。
「一期一会」の例文
- 転校して離ればなれになっても、あの日の出会いは一期一会の大切な思い出として心に残っている。
- 接客の仕事では、毎日多くの人と会うからこそ、一期一会を大切にして一人ひとりに向き合いたい。
- 旅先で偶然参加した祭りは二度と同じ形では経験できない、まさに一期一会の機会だった。
「一期一会」の類似表現
千載一遇
読み方:せんざいいちぐう
「千載一遇」は、めったに巡ってこない絶好の機会について使います。
「千載一遇の好機」のように、好都合なチャンスを指す場合が多く、人との出会いに限りません。
一世一代
読み方:いっせいちだい
「一世一代」は、生涯で一度しかないほど重大な行動や晴れ舞台について使います。
「一世一代の大勝負」「一世一代の演技」のように、本人が行う大きな行為と結びつきやすい表現です。
「一期一会」を構成する言葉の意味
「一期」は「いちご」と読み、人が生まれてから死ぬまでの一生を意味します。
「一期」には「いっき」という読み方もありますが、「一期一会」では「いちご」です。
「一会」の「会」は、ここでは人々が集まる会や出会いを指します。
「一期一会」の古い用例
江戸時代末期、井伊直弼が著した茶書『茶湯一会集』には、
「抑茶湯の交会は、一期一会といひて」
とあり、現在と同じ「一期一会」の四字形が使われています。
初出例の年代は弘化2年(1845)頃として扱われる資料がある一方、『茶湯一会集』はその後も推敲されたとされ、完成時期を安政年間とする資料もあります。
1973年発表の郷静子『れくいえむ』では
「毎日が文字通り一期一会なのであった」
と使われています。
茶会そのものではなく、人との一回一回の出会いについて用いられており、20世紀後半には茶の湯を離れた一般的な表現として使われていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「一期一会」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「一期一会」項。
- 表千家不審菴「茶の湯用語集 一期一会」「茶の湯用語集 山上宗二記」。
- 国立国会図書館レファレンス協同データベース「一期一会(いちごいちえ)について知りたい。」。
- 筒井紘一訳『茶湯一会集 現代語でさらりと読む茶の古典』淡交社、2017年。
