独断専行
読み方:どくだんせんこう
「独断専行」の意味
自分だけの判断で物事を決め、周囲の意見を聞かずに勝手に行動することです。
ふつう、そのような物事の進め方を批判する否定的な意味で使います。
「独断専行」の語源・由来
「独断」と「専行」からできた語です。
「独断」は他人に相談せず自分一人で判断すること、「専行」は自分の判断で実行することや、気ままに行うことをいいます。
「独断」は『十七条憲法』に「大事不可独断」とあるなど古くから使われ、「専行」も西周訳『万国公法』(1868年)などに用例があります。
ただし、これらは「独断専行」という四字熟語そのものの出典ではありません。
現在の四字形を直接生んだ一つの故事や古典は明らかではなく、成立した時期や経路もはっきりしていません。
「独断専行」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「独断専行する」
人物や組織を主語にして使います。「責任者が独断専行する」「執行部が独断専行する」などの形です。 - 「独断専行に走る」
周囲との相談や調整をせず、自分の判断だけで進めるようになることを批判するときに使います。「指揮者が独断専行に走る」などと続けます。 - 「独断専行を許す/戒める」
勝手な判断による行動を防いだり、注意したりする場面で使います。「幹部の独断専行を戒める」「独断専行を許さない」などの形です。
「独断専行」の例文
- 部長が関係部署への相談もなく方針を変更したため、独断専行だと社内から批判が出ました。
- 緊急事態だからといって責任者が独断専行に走れば、かえって現場の混乱を大きくするおそれがあります。
- 理事会は一人の独断専行を許さないよう、重要な案件を複数人で承認する仕組みに改めました。
「独断専行」の類似表現
一意孤行(いちいここう)
人の忠告や意見を受け入れず、自分の考えを押し通すことをいいます。
「一意孤行」は考えを曲げない頑固さを表す場面に向き、「独断専行」は相談や合意を経ずに決定し、そのまま実行する進め方について使われます。
専横跋扈(せんおうばっこ)
権勢を振るって、わが物顔に横暴な振る舞いをすることです。
「独断専行」よりも、力や立場を背景にした横暴さを強く表します。
「独断専行」の古い用例
二葉亭四迷の小説『其面影』(1906年)には、
「独断専行といふ気味で」
という用例があります。
「〜といふ気味で」と続け、人物が自分の判断で行動する様子を評する言葉として使われています。
少なくとも明治39年には、現在と同じ「独断専行」の四字形が日本語の文学作品に見られます。
1914年の陸軍省『陣中要務令』では、
「独断専行以テ機会ニ投セサル可カラス」
と記されました。
ただし、そこでは発令者の意図から外れてはならないという条件も置かれており、上官の命令の目的に沿いながら、変化する戦況に応じて自ら判断するという軍事上の専門的な意味で使われています。
現在の一般的な「勝手に行動する」という批判的な意味とは異なる歴史的用法です。
「独断専行」の間違いやすい使い方・表記
「独断先行」ではなく、「独断専行」と書きます。
「独断先行」は「独断専行」の標準的な表記ではありません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「独断専行」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「独断専行」「独断」「専行」項。
- 樋口俊作「『指揮の要訣』に見る陸上自衛隊の指揮の出発点―『指揮の要訣』100年を迎えて―」陸上自衛隊教育訓練研究本部、2023年。
