面目躍如
読み方:めんもくやくじょ(めんぼくやくじょ)
「面目躍如」の意味
その人の持ち味や実力が十分に発揮され、評判にふさわしい姿が生き生きと表れているさまです。
人物だけでなく、その人の作品や仕事ぶりなどを高く評価するときにも使います。
「面目躍如」の語源・由来
「面目」と、古くからある漢語「躍如」が結び付いた表現です。
「面目躍如」という四字形全体を直接の出典とする中国古典は、今回確認した資料では示されていません。
「躍如」は『孟子』「尽心上」に見える語で、孟子の言葉として
「君子引而不發、躍如也」
とあります。
弓を引いてまだ矢を放たない君子の姿を、今にも勢いよく動き出すような「躍如」という語で表した箇所です。
日本語でも「躍如」単独は1877年の増山守正『西京繁昌記』に用例があります。
現在の「面目躍如」という四字形がいつ、誰によって作られたかは明確ではありません。
「面目躍如」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「面目躍如たる〜」
後ろに「演技」「作品」「活躍」「働き」「筆致」などを続けます。「面目躍如たる演技」「面目躍如たる作品」などの形です。 - 「面目躍如として〜」
「いる」「現れる」などを続け、その人や作品の特色がはっきり出ている場面で使います。「面目躍如としている」などの形が見られます。
「面目躍如」の例文
- 終盤で選手たちを落ち着かせた采配には、名監督の面目躍如たるものがありました。
- 緻密な人物描写と軽妙な会話が光る新作は、ベテラン作家の面目躍如たる一冊です。
- 大胆な構図と細やかな筆遣いの両方に、画家の個性が面目躍如として現れています。
「面目躍如」の類似表現
本領発揮(ほんりょうはっき)
その人が本来持っている能力や得意な力を十分に出すことをいいます。
「本領を発揮する」という言い方も一般的で、スポーツや仕事など幅広い場面で使えます。
「面目躍如」は、作品や振る舞いを評する文章でもよく用いられ、やや文章語的な響きがあります。
真骨頂(しんこっちょう)
その人や物が本来持っている本当の価値・特色そのものを指します。
「真骨頂を発揮する」「ここが真骨頂だ」のように使うため、「面目躍如」とは文への組み込み方が異なります。
「面目躍如」の古い用例
1910年(明治43年)刊の長野県小諸尋常高等小学校編『浅間山』には、
「此原の面目躍如たるものの存する也」
という用例が報告されています。
ここでは人ではなく浅間山周辺の土地について用いられており、当時すでに物事や場所の特色がありありと現れる場合にも使われていたことが分かります。
ただし、この用例は資料上「確例ではありません」という注記付きで報告されているため、これを日本語での初出とは断定できません。
『浅間山』の刊行は1910年9月であることが国立国会図書館の書誌でも確認できます。
1923年の花岡敏夫『平民ワシントン』には、
「其面目躍如たるものがある」
という用例があります。
「〜の面目躍如たるものがある」という、現在にも残る言い回しがこの時期には使われていました。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「面目躍如」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「面目躍如」「躍如」項。
- 中国哲学書電子化計画『孟子』「尽心上」。
- 「日国友の会」読者カード「めんぼくやくじょ【面目躍如】」。
- 国立国会図書館サーチ『浅間山』。
