無罪放免
読み方:むざいほうめん
「無罪放免」の意味
「無罪放免」とは、勾留されていた被告人が無罪判決を受け、身柄の拘束を解かれることです。
転じて、かけられていた疑いがすっかり晴れることもいいます。
「無罪放免」の語源・由来
「無罪」と「放免」を組み合わせた語です。
二つの語そのものは古く、「放免」は『続日本紀』の養老4年(720年)の記事に見え、「無罪」も中世の日本語文献に用例があります。
現在の四字形は、近代日本で法律用語の翻訳や整理が進められた時期の資料に現れます。
司法省編『法律語彙初稿』には、外国の法律語「アキトマン」を説明する箇所で
「無罪放免ナリ」
と記されています。
同書は司法省が編訳した法律語彙集であり、明治期の法制整備の中ですでに「無罪放免」が法律上の概念を示す語として使われていたことが分かります。
ただし、誰がこの四字形を最初に作ったのかは明らかではありません。
「無罪放免」の使い方
次のような形で使われます。
- 「無罪放免になる」
裁判によって無罪となった人や、疑いを晴らした人について使います。「裁判で無罪放免になる」「疑いが晴れて無罪放免になる」などの形です。 - 「無罪放免ということにする」
日常的な場面で、これ以上責任を追及しないことをやや冗談めかして示す場合にも使われます。「今回は無罪放免ということにする」などと続けます。文学作品にも、このように法律以外の場面へ広げた用法が見られます。 - 「無罪放免だ」
疑いをかけられていた人について、潔白になったことを述べる形です。「証拠が出たから、彼は無罪放免だ」などと使います。
「無罪放免」の例文
- 長い再審の結果、被告人は無罪放免となり、家族のもとへ戻りました。
- 防犯カメラを調べると別の人物の行為だと判明し、疑われていた彼は無罪放免になりました。
- 送信記録からミスの原因が別の部署にあると分かり、担当者はひとまず無罪放免です。
「無罪放免」の類似表現
青天白日(せいてんはくじつ)
「青天白日」には、心にやましいところがないことや、無実であることが明らかになるという意味があります。
「青天白日の身となる」のような文章語的な表現があり、身柄の拘束が解かれることまで含む「無罪放免」とは使える範囲が異なります。
「無罪放免」の古い用例
国立公文書館に残る明治16年(1883年)6月8日付の公文書には、
「刑事裁判上無罪放免ノ被告人ヘ旅費日当支給方ハ刑法治罪法制定施行後ハ消滅ニ属ス」
という件名があります。
「無罪放免ノ被告人」と名詞を直接修飾する形で、官庁の法律関係文書に使われていました。
永井荷風『夢の女』(1903年)には、父親らについて
「無罪放免になって」
という形の用例があります。
20世紀初めには、官庁の専門的な文書だけでなく文学作品でも「無罪放免になる」という現在にも続く形が使われていました。
「無罪放免」の間違いやすい使い方・表記
刑事手続について厳密に述べる場合、「不起訴」と「無罪放免」を同じものとして扱わないよう注意が必要です。
不起訴は検察官が公訴を提起しない処分であり、裁判所が無罪判決を出したことを意味しません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「無罪放免」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「無罪放免」項。
- 司法省編『法律語彙初稿』司法省、1883年。
- 『公文類聚』第七編・明治十六年・第七十七巻「刑事裁判上無罪放免ノ被告人ヘ旅費日当支給方ハ刑法治罪法制定施行後ハ消滅ニ属ス」、1883年6月8日。
