音信不通
読み方:おんしんふつう(いんしんふつう)
「音信不通」の意味
「音信不通」とは、便りや連絡が途絶え、相手との連絡が取れないことです。
手紙だけでなく、電話やメールなどによる連絡がない場合にも使います。
「音信不通」の語源・由来
「音信」は便りや通信、「不通」は通じないことを表します。
この四字形は中国の古い文献にも見られます。
南宋の徐夢莘が1194年にまとめた『三朝北盟会編』巻二百三十四には、紹興31年(1161)の文書として、
相去萬里、音信不通
という一節が収められています。
遠く離れていて便りが通じないことを述べた箇所で、現在と同じ「音信不通」の四字が続けて使われています。
ただし、日本語の「音信不通」がこの文書から直接取り入れられたと断定できる資料はありません。
中国では遅くとも南宋期に同じ四字形が存在していたことと、日本語でも後世に同じ形が使われていることを分けて考える必要があります。
「音信不通」の使い方
次のような形で使われます。
- 「~と音信不通になる」
連絡が途絶えた相手を「と」で示します。「旧友と音信不通になる」などの形です。 - 「~が音信不通になる」
連絡を取れなくなった人を主語にします。「担当者が音信不通になる」などと使います。 - 「音信不通の~」
後ろに「友人」「状態」などを続けます。「音信不通の友人」「音信不通の状態」などの形です。 - 「音信不通のまま~」
連絡がない状態が続いていることを示します。「音信不通のまま年月が過ぎる」などと使います。
「音信不通」の例文
- 高校を卒業してから彼とは長く音信不通だったが、同窓会をきっかけに再会した。
- 現地へ向かった調査員が一時音信不通となり、関係者が安否の確認を急いだ。
- 何度メールを送っても返事がなく、担当者は一週間近く音信不通のままだ。
「音信不通」の類似表現
消息不明(しょうそくふめい)
「消息」は、人や物事の現在のありさまや動静を指します。
「消息不明」は、相手の居場所や現在の状況が分からない場合に向く表現です。
「音信不通」は、相手の居場所が分かっていても、連絡のやり取りが途絶えていれば使えます。
梨の礫(なしのつぶて)
こちらから手紙や連絡を送ったのに、返事がない場合に使います。
「投げた礫が返ってこない」ことに「無し」と「梨」を掛けた表現で、こちらから働きかけた後の無反応をいう点が特徴です。
「音信不通」の古い用例
天文3年(1534)成立の抄物『四河入海』には、
「交旧も皆絶て音信不通なぞ」
という用例が伝わっています。
同書は蘇軾の詩を注釈した日本の抄物で、国立国会図書館には慶長・元和年間に刊行された古活字版も残っています。
井原西鶴『日本永代蔵』(1688)巻二には、
「隣むかひも音信不通になりて」
という例があります。
雪によって人の行き来が難しくなる場面で使われており、この時代には人との往来や便りが途絶えることを表していました。
読みは「いんしんふつう」とされます。
明治期にも「いんしんふつう」は使われ、尾崎紅葉『金色夜叉』には
「僅の行違から音信不通の間になつて」
という例があります。
一方、国木田独歩『非凡なる凡人』(1903)には
「正作の兄は十六の歳に家を飛びだし音信不通」
とあり、「おんしんふつう」の読みの用例として挙げられています。
現在は「おんしんふつう」が一般的ですが、「いんしんふつう」も誤りではありません。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「音信不通」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「音信不通」項。
- 徐夢莘編『三朝北盟会編』巻二百三十四。
- 国木田独歩『非凡なる凡人』1903年。
