油断大敵
読み方:ゆだんたいてき
「油断大敵」の意味
油断すると失敗を招くので、気を緩めず十分に注意すべきだという戒めの言葉です。
「油断大敵」の語源・由来
「油断大敵」は、「油断」を恐ろしい「大敵」にたとえた表現です。
中国古典の成句をそのまま取り入れたものではなく、日本語で成立した表現とみられます。
ただし、「油断」という語そのものの語源は明らかになっていません。
一説には、『北本涅槃経』巻二十二にある、王が臣下に油を入れた鉢を持たせ、
一滴でもこぼせば命を断つ
と命じた話と結び付けられています。
別に、ゆったりすることなどを表す和語「ゆたに」が変化したとする説もあります。
どちらかを確定した語源とすることはできません。
「油断大敵」の使い方
次のような形で使われます。
- 「油断大敵だ」
注意を促したり、自分を戒めたりするときに使います。「格下の相手でも油断大敵だ」「慣れた仕事ほど油断大敵だ」などの形です。 - 「油断大敵と考える/心得る」
気を緩めないよう意識することを述べます。「油断大敵と考えて備える」「油断大敵と心得る」などと使います。 - 「油断大敵、〜」
文の初めに置いて、その後の行動や注意点へ続けることもあります。「油断大敵、最後まで確認する」「油断大敵、予備も用意しておく」などの形です。
「油断大敵」の例文
- 前の試合に大差で勝っていても、次の相手には油断大敵だと監督は選手たちに言い聞かせた。
- 何度も経験している作業ほど油断大敵で、確認を省いたときに限って思わぬミスが起こる。
- 朝は晴れていたが、山では油断大敵と考え、雨具と防寒着も持って出発した。
「油断大敵」の類似表現
油断強敵(ゆだんごうてき)
意味はほぼ同じで、多くの場面で言い換えられます。
「強敵」を「ごうてき」と読む表現で、「油断大敵」より前の江戸時代の文献にも用例があります。
勝って兜の緒を締めよ(かってかぶとのおをしめよ)
勝利や成功を得たあとこそ気を引き締めるよう戒めることわざです。
成功後の気の緩みに場面を絞っている点で、幅広い状況に使える「油断大敵」と使い分けられます。
「油断大敵」の古い用例
寛文8年(1668)の浄瑠璃『源平敵討遺恨并頼光北国』には、
「ゆだんたいてきとなしたる事の口をしや」
とあります。
「油断大敵」を「〜となす」という形に組み込んでおり、17世紀後半には「ゆだんたいてき」という四字の表現が日本語で使われていたことが分かります。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「油断大敵」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「油断」「油断大敵」項。
