内柔外剛
読み方:ないじゅうがいごう
「内柔外剛」の意味
「内柔外剛」とは、内心は気が弱いのに、外見や人前での態度は強く見えることです。
「内柔外剛」の語源・由来
出典は『易経』の「否」の彖伝です。
否の卦について、
内陰而外陽、内柔而外剛、内小人而外君子
とあります。
「内は陰で外は陽、内は柔で外は剛、内には小人がいて外には君子がいる」という対照を並べた一節です。
ここでの「内柔而外剛」は、もともと否の卦の内側が陰・柔、外側が陽・剛であることを述べています。
『易経』の彖伝そのものでは「内柔而外剛」と「而」が入っており、現在の「内柔外剛」と完全に同じ四字の並びではありません。
一方、三国時代の王弼による『周易注』には、否の六二を説明する注の中に「内柔外剛」という四字が続けて使われています。
ただし、現在の四字熟語としていつ定着したのかまでは明らかではありません。
「内柔外剛」の使い方
次のような形で使われます。
- 「内柔外剛の〜」
後ろに「人物」「人」「性格」などを続けます。「内柔外剛の人物」「内柔外剛の人」などの形です。 - 「内柔外剛だ」
人の外見と内面の違いを述べるときに使います。「彼は内柔外剛だ」などと続けます。 - 「内柔外剛の〜」を人以外に使う
内側と外側の性質が対照的なものにも用いられ、「内柔外剛の政策」のような使い方があります。
「内柔外剛」の例文
- 強面で近寄りがたい印象を与える部長だが、実際には内柔外剛の人で、部下への注意にもかなり気を遣っている。
- 彼は議論になると強気に振る舞うものの、本当は心配性で、友人からは内柔外剛だと言われている。
- 外交では厳しい姿勢を示しながら国内では慎重に譲歩する、内柔外剛の政策が取られた。
「内柔外剛」の類似表現
外剛内柔(がいごうないじゅう)
「内柔外剛」と意味はほぼ同じで、語の順序を入れ替えた形です。
多くの場面で言い換えられます。
「内柔外剛」の古い用例
『秋田魁新報』1953年9月5日夕刊の記事見出しに、
「内柔外剛ですネ」
という形が使われています。
「です」を直接続けて人物の性質を評する用法が、昭和20年代の新聞資料ですでに見られる例です。
「内柔外剛」の間違いやすい使い方・表記
「外柔内剛(がいじゅうないごう)」とは意味が反対です。
「外柔内剛」は、外見や態度は穏やかでも、内心には強い意志を持っていることをいいます。
「柔」と「剛」の位置が逆になるため、混同しないよう注意が必要です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 飯間浩明編『小学館 四字熟語を知る辞典』小学館、2018年、「内柔外剛」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「内柔外剛」項。
- 『周易』「否・彖伝」。
- 王弼注『周易注』巻二「否」。
- 『秋田魁新報』1953年9月5日夕刊3面、「あの手この手 5 男にすかれるコツ 秋田市美容師 中村芳子さん 内柔外剛ですネ お茶や生花はもうダメ」。
