脇目も振らず
読み方:わきめもふらず
「脇目も振らず」の意味
ほかのことに目や心を向けず、一つのことに集中する様子をいいます。
何かに打ち込む場合だけでなく、よそを見ないでまっすぐ進む様子にも使われます。
「脇目も振らず」の語源・由来
「脇目」は、正面から横へ目を向けること、よそ見をすることです。
「目を振る」には、目をほかの方向へ向けるという古い使い方があります。
「脇目も振らず」は、脇へ目を向けることさえしないという表現から生まれています。
視線をそらさないことが、ほかの物事に気を取られず一つのことに専念することにも使われるようになりました。
「脇目も振らず」の使い方
次のような型がよく使われます。
- 「脇目も振らずに〜する」
「に」を付けて副詞的に使い、後ろに集中して行う動作を続けます。「脇目も振らずに勉強する」「脇目も振らずに働く」などの形です。 - 「脇目も振らず〜する」
「に」を入れず、そのまま動詞につなげることもできます。「脇目も振らず働く」「脇目も振らず走る」などと使います。 - 「脇目も振らずに〜へ向かう」
人や場所などを目指して、ほかへ目を向けず進む場合にも使います。「脇目も振らずに出口へ向かう」「脇目も振らずに家へ帰る」などの形です。
「脇目も振らず」の例文
- 目標の資格を取るため、彼は半年間、脇目も振らずに勉強を続けました。
- 子どもは母親の姿を見つけると、脇目も振らず駆け寄っていきました。
- 周囲からさまざまな意見が出ても、研究チームは脇目も振らずに開発を進めています。
「脇目も振らず」の類似表現
一心不乱(いっしんふらん)
心を乱さず、一つのことに集中することをいいます。
「脇目も振らず」は「歩く」「走る」など移動を表す動詞とも自然に結びつきますが、「一心不乱」は勉強や仕事など、精神を集中して取り組む行為によく使われます。
無我夢中(むがむちゅう)
何かに夢中になり、自分のことまで忘れてしまうほど熱中する様子をいいます。
「脇目も振らず」よりも、我を忘れるほど強く夢中になっている響きがあります。
「脇目も振らず」の古い用例
俳諧集『毛吹草』(1638年)には、「脇目をもふられぬ花のさかり哉」という記述があります。
現代の「脇目も振らず」とは異なり、「脇目をも」「ふられぬ」という言い回しが使われています。
17世紀前半には、脇へ目を向けることを「脇目を振る」と言い表す使われ方がすでに見られます。
「脇目も振らず」の間違いやすい使い方・表記
「脇目」の代わりに「脇見」を使って「脇見も振らず」とするのは誤りです。
「脇目も振らず」が定まった形です。
参考文献・出典
- 新村出編『広辞苑』第七版、岩波書店、2018年。
- 米川明彦・大谷伊都子編『日本語慣用句辞典』東京堂出版、2005年、「脇目も振らず」項。
- 小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005~2006年、「脇目もふらず」「脇目」項。
